折れたバットに〝第二の人生〟 門真の工房が靴べらに再生 プロ選手や知事も愛用

 門真市の家具材料卸会社「岩本商会」の一角のある通称”野球部屋”と呼ばれる「B-ride」では、練習や試合で折れた野球のバットを「靴べら」などに再利用し、唯一無二の野球グッズとしてよみがえらせている。

 製品はプロ野球ファンのみならず各界の著名人も魅了し、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献と〝野球愛〟を形にしている。

折れたバットから再生した靴べらを持つ田中さん

 室長の田中伸佳さんは、高速回転する刃に丸いバットを縦に差し込む独自の手法で加工。バット特有の曲線や亀裂、メーカーのロゴや”バット感”などを極力残しながら、実用的な製品に仕上げる。

 取り組みのきっかけは、大量に廃棄されるバットの存在を知ったこと。最初はボール置きなどを製作していたが、後に「靴べら」に挑戦。野球部屋は野球場の応援席を模した空間で、ファンから届くユニフォームやサイングッズで埋め尽くされ、SNSを通じて全国に知られるようになった。

野球部屋には野球ファンから届くユニフォームやグッズ、選手らのサインが所狭しと飾られている

 靴べらはメジャーリーガーのフレディ・フリーマン選手や吉村洋文大阪府知事の手にも渡り、その輪は各界に広がっている。田中さんは「もっと多くの人に知ってもらい、将来はシーズンオフに選手自身が折れたバットを持ち込んでくれるようになれば」と夢を語る。