路上から書店へ ビッグイシューが新拠点「つむぐ本屋さん」開設 販売者が担う接客と本棚の世界

 ホームレスや生活困窮者の自立支援に取り組むビッグイシュー日本が運営する〝シェア本屋〟「希望をつむぐ本屋さん」が7月4日、大阪・千林にオープンした。

 同社はこれまで、路上で雑誌を販売する仕事を通じて生活再建を後押ししてきた。しかし、猛暑の直射日光や厳しい気候の下では活動が難しいのが現実だ。新たに開設された同店は、天候に左右されず、安心して働ける場を確保する取り組みの一環となる。

個性バラバラの棚が並ぶ

 同店では、ビッグイシューの販売者が仕事として棚の管理や接客を受け持つ。〝シェア本屋〟とは、店内の棚を区画に分けて一般向けに月額制で貸し出す業態のこと。棚の主は、自分がセレクトした本を並べ、販売できる仕組みだ。大阪事務所長の吉田耕一さんは「棚主さんの個性があふれた多彩なジャンルの棚が並んでいます。今後、読書会やブックフェアも催す予定です」と話す。

カフェスペース

 約10人の販売者が交代で店番を担っており、その1人の吉富卓爾さんは、主に客の呼び込みを行う。「食品スーパーに勤務したことはあるが、今回初めて本屋に関わることになり、緊張もあるが慣れていきたい」と卓爾さんは話す。

 店の奥にはカフェスペースが設けられており、フェアトレードコーヒーや紅茶を楽しめるほか、閲覧専用の書籍と購入済みの本を読むこともできる。

店番を担う吉富卓爾さん

■希望をつむぐ本屋さん/大阪市旭区千林2-15-23 千林商店街内