自己肯定感を高める学びの場

大人向けのペン字教室「pen.(ペン)」(大阪市中央区本町)が今年2月にオープンして半年が過ぎた。運営する永井玲子さんは「まさに人生が大きく動いた半年でした」と振り返る。
教室では90分のレッスンを基本に、4人の講師が初心者から経験者までを指導。授業は自分の名前の練習から始まり、その後、五十音の平仮名やカタカナ、漢字へと進む。書いた文字はその場で講師が「朱入れ」を行い、自分のクセや注意点を学ぶ。希望者は昇級段試験に挑戦でき、初心者は10~8級からスタートすることも可能。
師匠の閉校が開業のきっかけに
顧問を務めるのは書道家・三都華子(みとかこ)さんだ。永井さんはフリーランスになったことをきっかけに三都さんの教室に通い、唯一続けられた習い事になったという。「毎週一度通う時間が、精神的な支えになっていました。子どもの頃から習い事が続いたことがなく、仕事や育児で自分を責めがちな中、褒めてもらえることで少しずつ自己肯定感が高まったんです」と振り返る。
しかし昨年8月、三都さんが体調不良のため教室を閉じると知り、深い喪失感に襲われた。知人の経営者に相談すると、「自分でやってみたいのでは」と背中を押されたという。永井さんは三都さんに顧問としての協力を依頼し、わずか半年での開業を決断。「私が体験したように、多くの人が 〝大人になっても変われる〟と実感できる場をつくりたかった」と話す。

受講者は30~70代と幅広く、女性は6割、男性が4割を占める。生徒は、契約書やホワイトボードに字を書く機会の多いビジネスパーソンや家事や育児の合間に通う人など。始めたばかりの人は、「こんなに自分の名前に向き合ったのは初めて」と感想を話す。 加えて、「集中して字を書く90分が心地よい。なぜか頭がすっきりしました」と前向きの声も多い。スマホやパソコンに囲まれる日常の中、文字と向き合う時間は心を整える効果もあるようだ。

「大人になっても人は変われる」
永井さんは「文字の上手さはセンスがないとダメ? 大人になってからでは遅い? と言われる方がいますが大丈夫です。大人になっても文字や人は変われるという実感を届けたい」と目を輝かせる。
■大人向けのペン字教室「pen.」(ペン) /大阪市中央区本町4丁目8−9 RE-022 201号室(大阪メトロ本町駅から徒歩約3分)
https://pen-ink.co.jp/
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