白浜のパンダ4頭、中国へ帰国

 和歌山県白浜町のテーマパーク「アドベンチャーワールド」で飼育していたジャイアントパンダ4頭が6月末、中国に返還された。これにより、国内で飼育されるジャイアントパンダは東京・上野動物園の「リーリー」と「シンシン」の2頭のみとなった。

良浜(らうひん)・メス 2000年9月6日生まれ(24歳)
良浜(らうひん)・メス 2000年9月6日生まれ(24歳)

 返還されたのは、24歳のメスの「良浜(らうひん)」と、その子ども「結浜(ゆいひん)」「彩浜(さいひん)」「楓浜(ふうひん)」の4頭。6月28日夜に中国・四川省成都の繁殖研究基地に到着し、中国動物園協会は「4頭のパンダを引き取り、無事に帰国した」との声明を発表した。

結浜(ゆいひん)・メス 2016年9月18日生まれ(8歳)
結浜(ゆいひん)・メス 2016年9月18日生まれ(8歳)

 アドベンチャーワールドは大阪府民にとっても身近なテーマパークだ。このため、「パンダロス」を悲しむ声も聞かれる。大阪市北区の40代主婦は「パンダはアドベンチャーワールドのシンボル的な存在だったから悲しい。返還される前に家族で見に行きたかった」と話す。同市西区の30代女性は「とても寂しい。パンダがいなくなったら、次は何が目玉になるのかな」と話した。

彩浜(さいひん)・メス 2018年8月14日生まれ(6歳)
彩浜(さいひん)・メス 2018年8月14日生まれ(6歳)

 パンダ返還の理由は、1994年から続いてきた日中共同のジャイアントパンダ保護プロジェクトの契約が8月で満了するため。両国が協議して、動物への負担が少ない涼しい季節の6月に送り出すことにした。

楓浜(ふうひん)・メス 2020年11月22日生まれ(4歳)
楓浜(ふうひん)・メス 2020年11月22日生まれ(4歳)

 同園では、過去30年間で計17頭のパンダが誕生し、国内屈指の繁殖拠点として知られてきた。返還については、過去にも行われており、良浜が2008年に初めて出産した双子の梅浜(めいひん)と永浜(えいひん)は13年に中国へ。その後も17年と23年に5頭を送り出している。さらに、中国に帰国したパンダからは20頭以上の子どもが誕生しており、パンダの保全と繁殖において、同園は国際的にも重要な役割を果たしてきた。

 同園の広報担当者は「ジャイアントパンダがいなくなるが、今後も保護共同プロジェクトの継続を目指し、中国側との協議を進めたい」と話している。

 ○同園広報の話…パンダを求め、多くのゲストに来園いただいた。「幸浜」から「楓浜」まで13頭の名前を一般募集したが、総数は延べ約57万名にのぼり、1万人を超える命名者との間に深い絆が生まれた。
 パンダたちの誕生日には毎年多くのファンが来園し祝福。4頭が中国へ帰国する歓送セレモニーにも多くの来園者が訪れ、別れを惜しむ声とともに「元気でいてほしい」「また会いたい」という約2万件のメッセージも寄せられた。
 パンダは、単なる人気動物にとどまらず、来園者一人ひとりの心と深くつながる存在。4月末の帰国発表後には、名残りを惜しむ人々が園を訪れ、パンダが人々の心に刻んできた存在の大きさを改めて感じる機会となった。