京阪電車 門真市駅に優等列車を 開発で活気づく街。長年の〝悲願〟は実現するか


▲京阪「門真市」駅を通過する特急列車

 門真市のメインターミナル京阪電車「門真市駅」前にある「門真プラザ」(同市新橋町)を再開発する事業の協力者の募集が7月15日に始まった。〝市駅〟前地区の再開発事業が動き出したということだ。ところで同駅は市役所の最寄り駅であり、大阪モノレールの乗換駅でもある。しかし特急や急行どころか、準急も停車しない。大阪市内などとの往来には、複数回の乗り換えというケースもあり、不便このうえないというのが実情だ。このため同市関係者にとっては、特急や急行などといった「優等列車の停車」が長年の〝悲願〟となっている。


▲京阪電車と大阪モノレールが乗り入れる「門真市」駅。左がモノレール駅で中央が京阪電車駅。右側に少しだけ見える建物が門真プラザ

今は区急と普通のみ

 現在、大阪モノレールは門真市駅で終着となっているが、2029年開業の目標で南へ、東大阪市の瓜生堂駅(仮称)まで約8・9キロ延伸されることが決まっている。大阪モノレールでは、延伸によって「新たにJRや近鉄などの4路線と結節し、在来鉄道10路線とのネットワークを形成」とうたっている。

 確かに京阪沿線の北河内地域住民にとって、利便性がアップし、新たな地域とのつながりが生じることは間違いない。しかし京阪の門真市駅は、朝夕の区間急行と普通(各駅停車)だけの停車である。ということは準急以上の優等列車を利用すると、萱島駅(ホームの一部分が門真市域となっているが、大部分は寝屋川市)や守口市駅で乗り換えなければならないわけだ。

市が戦略に盛り込む

 門真市は今年度、初めて「門真市総合交通戦略」を策定し、その中で「悲願」を取り上げた。「公共交通」の「課題」に「鉄道ネットワークの機能強化」を挙げ、それに対する施策として「京阪電車と大阪モノレールの乗り継ぎ利便性向上」とした。そして事業として「京阪電車門真市駅への優等列車の停車」を盛り込んでいる。

 ところが、実現へのハードルは極めて高い。同市は京阪電車と年に1回実施する協議の席で、毎年のように「優等列車の停車」を訴えてきたが、ずっと〝色よい返事〟をもらえずにいる。このことからも、その困難度は推し量れるだろう。

駅舎の構造も課題

 門真市駅は2面のホームに複々線。内側2線は優等列車を通過させるためのものだ。だから「止める」となると、優等列車用のホームを増設しなければならない。すなわち駅舎の構造そのものを作り変える必要がある。

 コロナ禍以降、全国の鉄道各社が置かれた状況は厳しく、テレワークの普及などとも相まって利用者が大きく減っている。この需要減の対策として各社が採ったのは「列車本数の減」だった。需要に供給も合わせたわけだが、この傾向は現在もなお歯止めがかからず、秋にかけてはさらに厳しさを増すのでは、との予想も出ている。

乗降客は1日2、3万人

 さらに優等列車の停車駅となる大きな要素が「乗降客数」だ。京阪電車内の駅別ランキングはここ数年、ほとんど変動がなく、門真市駅は13、14位あたりで固定されている。数字も1日平均2・5万人から3万人といったところだ。一方、間に西三荘駅を挟むだけで極めて近い、急行停車駅の守口市駅は12、13位で3万人を超える乗降客がある。なかなか条件的にも難しいのが現状だろう。


▲来春、門真市駅からも近い松生町に開業する「ららぽーと門真」の内観イメージ=三井不動産提供

乗降客伸びる可能性

 ただ今後、同駅の利用者が大きく伸びる可能性がある。今回、事業協力者を募集したイズミヤ門真店や市営住宅などが入る「門真プラザ」の再開発を含めた駅前地区では、大規模な再開発事業の推進が期待されている。

 さらに、その南側に位置する松生町では、広大なパナソニック工場跡地に大型商業施設のららぽーとや会員制倉庫型店のコストコ、分譲住宅が建設され、大阪モノレールの松生町駅(仮称)も予定され、門真市駅周辺が一気に活気づくことが予想されるのだ。

 となるといずれ、長年の〝悲願〟が検討される可能性が浮上するかもしれない。「頑張ってまちづくり(門真市駅前)に取り組んでいる最中で、その動きの中で、京阪電車の優等列車の問題についても努力しているところです」(同市地域整備課公共交通グループの本村貴行課長補佐)と市では説明する。