【令和版ニチニチ子育て研究所】今回はパパ・ママに向けて「大人の歯の矯正」

 前回の「子育て研究所」では子どもの歯列矯正について専門の先生に話を聞いたが、今、大人の矯正も注目されている。マスク生活が終わりを迎え、口元が気になる人が増えているからだ。しかし、金銭面の問題や痛みなどを理由に興味はあってもなかなか踏み出せない人も多いのでは。そこで歯列矯正についてのさまざまな疑問を専門家に伺った。

青山歯科・矯正歯科院長 青山剛三さん

青山歯科・矯正歯科院長 青山剛三さん

2013年に大阪大歯学部卒業後、同大歯学部顎顔面口腔矯正学入局。その後、同大歯学部附属病院矯正科に医員として従事。日本矯正歯科学会認定医を取得。その他数ヵ所の歯科医院で矯正歯科医として勤務。23年に「青山歯科・矯正歯科」を開院。同大歯学部附属病院矯正科に招請教員として在籍。

Q.歯列矯正のメリットは?

美しい歯並びを手に入れることができるほか、歯列が整うことで噛み合わせが良くなり、食事がしやすくなったりと将来的に歯を守ることに繋がります。また、歯と歯の空隙をなくしたり、乱ぐい歯(重なって歯が生えている状態)を解消することで、歯磨きがしやすくなり虫歯や歯周病のリスクが低くなります。ただし、歯周病が過度に進行している人は矯正治療に制限がかかるので注意が必要です。

歯磨き

Q.期間はどのくらい?

個人差はありますが、ワイヤー矯正は約1年半~2年程度です。毎回ブラケットやワイヤーの交換をする調整が必要になります。
マウスピース矯正は1~2週間ごとに交換し、期間は2年程です。症状の程度や治療に要する期間によって個人差が出てきます。

マウスピース

Q.矯正治療中の痛みは? 食事は?

マウスピースは装着してから2日間程は違和感があります。硬いものを食べる時にも痛みを感じやすいですが、その他は比較的痛みは少ないでしょう。ワイヤー矯正は歯列を正しい位置に移動させるために強い力を加えるため、1週間程度痛みや違和感を感じることがあります。

矯正治療中

Q.歯列矯正の種類は?

ワイヤー矯正、マウスピース矯正、外科矯正の3種類です。ワイヤー矯正とは金属製やセラミック製のブラケットとワイヤーを使って歯列を正しい位置に移動させる矯正方法です。マウスピース矯正はマウスピースを用いて、歯を徐々に移動させる治療法で目立たない装置であることや、装着感が軽減されるというメリットがあります。外科矯正は手術を併用した矯正治療です。上下の顎の位置や大きさのバランスが悪く、顎が変形しているなど骨格性の不正がある場合に適しています。

Q.費用はどのくらいかかる?

歯科医院によって異なりますが、当院ではワイヤー矯正は71万5000円、マウスピース矯正は77万円です。それぞれに調整料で別途5500円が必要です。外科矯正は健康保険が適用されるため、治療費ははおおむね30~50万円程度です。

Q.最後に矯正治療を迷っている人へ

矯正治療は、経済的にも期間的にもハードルが高い治療ですが、歯は一生物です。長い人生を考えて、自分の歯で一生食べていくことを目標に、後悔のないよう歯に対する意識を高く持ってほしいと思います。