コロナ禍の家庭学習、どうする? 受験研究社 ネクストラーニング・ラボ 主任研究員 岡田健志さんに聞く


▲「自学自習できる子に育てる機会と捉えて」と話す岡田さん

 コロナ禍で休校や学級閉鎖が繰り返され、塾に通っている子と通っていない子とで学力格差が心配されている。しかし、収入が増えないこの状況では、通塾させられる家庭は限られる。こうなると、重要なのは家庭学習だ。そこで受験研究社 NEXT LEARNING Labsの主任研究員、岡田健志さんに家庭学習に関する保護者へのアドバイスを聞いた。

 ―コロナ禍の学力格差をどう捉えられていますか。

 これまでも格差はありましたが、それがあまり大きくならないような支援(補習など)を学校で実施することができていました。 しかし休校・学級閉鎖などが増え、その支援に支障が出てきています。 また経済的な理由から通塾控えなども起きていると聞きます。もちろん塾も対面での指導が十全にできない場合もあるでしょう。

 このような状況下で重視されるのは「自学自習できる子」だと思います。学校・塾で学習内容だけではなく「勉強の仕方」も学んでいたのかどうかや、そのような自ら学習を進める力についての保護者の理解がこれまで以上に注目されるように思います。

 ―現状では家庭学習が重要になると考えますが、ただ学校で出された課題をやっておけば良いのか、それ以外にも取り組むべきなのか、何が正解なのでしょうか。

 家庭学習や家庭の教育方針はコロナ禍の影響に関わらず非常に重要です。たとえば、通塾も保護者の目的・意図によってお子様の意欲は大きく変わってきます。 なんとなく通塾したり、嫌々通塾するくらいであれば、自主的に家庭学習をする方が効果は高くなります。この機会に、通塾の必要性や家庭学習のあり方について再確認されるとよいかもしれません。

 まず、学校の宿題がしっかりこなせていることが大前提。お子様の宿題の進み具合・ 理解具合を保護者が観察したうえで、プラスαで取り組むべき教材を検討してはいかがでしょうか。

 ―教材の選び方を具体的に教えてください。

 学習習慣が身についていないお子様には短時間で取り組めるドリル。じっくり取り組んだり、ハイレベルな力をつけたい場合はレベル別問題集。単元の内容を理解したり、 解き方・考え方を知りたい場合は参考書。世の中にある学習参考書を上手に活用すればより質の高い家庭学習が可能 です。

 ―親が子どもにしてやれることはありますか。

 コロナ禍のこの状況は家庭で「自学自習できる子」に育てるための機会とポジティブに捉えましょう。 学習内容だけではなく、お子様の「学習能力」 (学習を自分で進めていくための基礎的な力)が身についているかどうかを観察してみてください。

 注意点としては、「あまり細かく言い過ぎない」ことです。家庭で一緒にいる時間が増えると細かい点が気になってきます。 また学校・塾とちがってご家庭には学習の仲間がいません。 仲間が頑張っているから少々辛いことでも頑張れるという環境は家庭ではつくりづらいです。 関係性が 親子の一対一になりがちです。 普段以上にお子様にプレッシャーをかけないような配慮が大切になると思います。

学習指導について、岡田さんの動画を公開中


岡田健志(おかだたけし) 大阪大学大学院博士課程まで言語哲学・科学哲学を研究。全国に展開する有名私塾にて、教室長・コース長を務め、150回以上の保護者向けセミナーを実施。社内研究所にて、教育心理学・テスト理論を研究。全国模試の設計や全国の保護者向けセミナー原稿ライターを務める。大手通信会社のMOOC(大規模オンライン公開講座)設立に係る。多数のeラーニングコンテンツ・講座設計に携わる。現在、増進堂・受験研究社のNEXT LEARNING LabsにてAIやVRなどの最新技術を教育現場に転用する研究開発を担当。複数の大学・企業と共同研究を推進している。学校教員向けの研修講師、NPO法人のセミナー講師なども務めている。