【この習慣で対人関係はうまくいく!④】ほめ言葉にどう反応する? 心をつかむ返答のポイント

コミュニケーションライター/黄本恵子

 他人からほめ言葉をかけてもらったとき、どう反応していますか?

 「いえ、そんなことないですよ!」「私なんか全然ダメです!」など、否定から入ってしまう人は少なくないかもしれませんね。

 ほめられるのって気恥ずかしいし、照れ臭いもの。『謙遜は美徳』という考え方が根付いていて、つい否定してしまう人もいらっしゃるでしょう。

 ですが、この反応は、相手を不快にさせてしまっている可能性がとても高いのです。

 先日、知人がこんな話をしてくれました。

 知人は今年から地域活動に関わることになりました。その地域活動で、チラシ作りなどを担当してくれる人の制作物が、とてもステキなのだそうです。ある日、思い切ってそのことを本人に伝えてみました。

 「○○さん、今回のチラシもすごくかわいくオシャレに仕上がっていましたよね。いつも本当にセンスありますね~!」

 すると、「いや、どこがですか! こんなのがセンスあるなんて、おかしいですから。もっと上手に作れる人、たくさんいますよ」と言われたそうです。

 とても悲しい気持ちになり、その後の会話もなんだか気まずい雰囲気に…。

 「この人にはもう余計なことは言わないでおこう…」と思ったそうです。

 自分に自信がない人、自己肯定感が低い人は、このようにほめ言葉を真っ向から否定してしまいがちです。そして、自分の能力の無さや至らなさをアピールしようとします。完璧主義な人にも、この傾向があります。

 相手からのほめ言葉を否定するのは、相手の気持ちや考えを否定しているのと同じです。ほめ言葉をプレゼントに例えたら、「いりません!」と突き返しているようなものです。

 こういう反応を続けていると、ほめ言葉をかけてもらえることがだんだんと少なくなってきます。

 では、どう反応するのが良いのでしょうか?

 まずは、「ありがとう」という言葉で受け取りましょう。相手は安心感を抱き、「伝えてよかった」と思うでしょう。また、この言葉は自分の自己肯定感も高めてくれます。

 「ありがとう」と受け取った後の会話も大切です。次は、ほめてくれた相手に意識を向け、焦点を当てましょう。

【例】

相手「今日の会議の資料、すごくキレイで分かりやすかったです。時間がない中で、すごいですね!」

①「ありがとう。うまくできた自信はなかったけれど、○○さんにそう言ってもらえて、すごくうれしい!」

②「ありがとうございます。○○さんこそ、会議の司会進行役、バッチリでしたよね。どうやったらあんな風に時間内にみんなの意見をまとめることができるんですか?」

①は、相手への感謝の気持ちがより伝わりますし、相手に特別感も持たせることができます。
②のように相手に話題を振ると、相手はうれしく思い、会話がより盛り上がっていくでしょう。

 ほめ言葉に対してどういう反応を取るかで、その後の会話、そして関係性に大きな違いが生まれます。
 コミュニケーションに深みや広がりが出るような返答を心がけてみてください。

黄本恵子(きもと けいこ)さん

黄本恵子(きもと けいこ)
大阪市出身。1980年生まれ。関西大学社会学部卒業。心理学について学びを深め、人間関係に悩む人々のカウンセリング業務に従事。その経験を活かし、家族間や男女間のコミュニケーションについての記事を大手WEBマガジンにて執筆。ビジネス書の編集・執筆協力にも多数携わる。米国NLP協会認定 NLPマスタープラクティショナー。
〈メディア出演〉ニュース番組『新・情報7daysニュースキャスター』に出演。「高齢者の親に免許返納を促す伝え方」についての記事が反響を呼び、取材を受ける。朝の情報番組『ビビット』に出演。「2歳児ができること」について紹介した記事が取り上げられる。