「人生100年時代」―。健康寿命を延ばすには、地域社会や人と交流し、生きがいを持って暮らすことが重要だ。60歳以上のシニア世代がいきいきと働ける機会を提供する、門真市シルバー人材センターの会員を取材した。
昨年8月から、門真自動車教習所で教習車が走るコースの清掃、植栽の除草業務に従事する森国男さん(78)。同センターに入会する前は、「1年くらい何もせずにのんびりしていた」という。「家でじっとしていたら、死ぬのを待っているようで嫌だった。ぽっこりお腹のメタボになり、体を動かさないとまずいと思いました」と振り返る。仕事を始めてからは、健康そのもの。コースを歩き回り、勤務時間の3時間で5000歩を達成しているという。
「初めてお会いした時に、扇風機が付いたベストを着てきはった。〝あ、この人は本気や〟と思いました」と笑うのは、同教習所の中道和也所長。「こちらから細かく指示を出さなくても、森さんは自発的に動いてくださるので助かっています。いつも探すのが大変なくらい、施設内のありとあらゆる箇所を回ってはりますね」と目を細める。
森さんは長年、自営業を営んできた。「人から言われるよりも自分で考えて動くのが好き。毎日、自分で目標を設定して、達成感を積み重ねています」と話す。
森さんには「師匠」と慕う先輩のシルバー会員がいる。同教習所で20年以上にわたり、清掃業務に携わる名田章弘さん(82)だ。「手取り足取り、一から仕事を教えてくれはった。名田さんは剪(せん)定もできるんですよ」と森さんにとって憧れの存在だ。そんな頼れる先輩は、昨秋から持病が悪化し、現在は休職している。「早く元気になってまた一緒に仕事したいね」と森さんは「師匠」の復帰を心待ちにしている。
<取材協力>公益社団法人 門真市シルバー人材センター/門真市中町1-1/電話06(6905)5911