中古マンション×リノベが活況 新築高騰の今、賢いマンション購入とは

高騰を続ける新築マンション

 新築分譲マンションの値上がりが止まらない。不動産経済研究所が発表した昨年10月の大阪市内の新築分譲マンション平均価格は5803万円。前年同月比47・1%増と驚異的な伸び率だ。

 一般的に住宅ローンの年収倍率は7倍が目安と言われている。国税庁の民間給与実態統計調査(令和3年分)によると給与所得者の平均給与は443万円。頭金がないと、3000万円ほどの物件しか購入できないという計算になる。

割安な中古マンション

 そこで今注目を集めているのが新築よりも割安な中古マンションだ。築年数やエリアなどで大きく条件は異なるが、新築に比べて3~5割程度割安な価格で販売されている。新築の高騰が著しい首都圏では2016年に中古マンションの販売戸数が新築マンションを逆転し、以降も中古マンションの方が販売を伸ばしている。近畿圏でも同様に、20年に中古マンションが新築マンションの販売戸数を上回った。

坪単価

 中古マンションの魅力は割安な価格だけではない。22年1~6月の大阪市内の新築分譲マンション供給戸数は前年同期と比較して4・7%減。都心部で魅力的な用地を取得することが難しくなっている。対して中古マンションの場合は市場全体の供給戸数が多く、最寄り駅、周辺環境、間取りなど自分の好みに合った物件を探しやすい。また、実際に物件を内覧することで暮らしのイメージが湧きやすく、入居後のミスマッチを減らすこともできる。

活況のリノベ市場

 中古マンションの販売戸数が伸びる中でリノベーションのニーズも高まっている。リノベーション費用をかけても新築に比べリーズナブルに、かつ新築に劣らない状態の良い住まいを取得できるからだ。それだけでなく、デザインや設備が刷新されることで価値が上がり、資産価値の目減りも少ない傾向にある。

 「マイリノ オオサカ」関西エリアマネージャーの木下さん(グローバルベイス)は「コロナ禍を経験し在宅が増える中で、住まいをよりよくしていきたい思いはみんな強まったと思います。今後は、住まいに暮らしを合わせるのではなく、暮らしに住まいを合わせていくスタイルに。自分のライフスタイルに合った間取りやデザインをかなえていく住まいづくりが主流になるでしょう」と話す。

リノベのビフォーアフター例。一度スケルトンの状態にし、住居内部まで必要箇所を修繕していく。破損部分の修繕はもちろん、デザインチェンジも行い、さらには新しく引き戸を設置したり奥の部屋に新しくクローゼットも作るなど、入居者に必要な設備を追加している(事例提供/グローバルベイス)

リノベ前
リノベ前
スケルトン状態
スケルトン状態
リノベ後
リノベ後

改めて、リノベーションとは?

 中古住宅に対して、機能・価値の再生のために、その家での暮らし全体に対処した包括的な改修を行うこと。水・電気・ガスなどのライフラインや構造躯体(くたい)の性能を必要に応じて更新・改修したり、ライフスタイルに合わせて間取りや内外装を刷新することで、快適な暮らしを実現する現代的な住まいに再生していく。
 リフォームは、マイナスの状態のものをゼロの状態に戻す、いわゆる「原状回復」であるのに対して、リノベーションは、さらに新たな機能を与えたり価値を向上させるような工事を指す。