大阪府は、国家戦略特区の制度を活用し住宅での民泊営業を可能とする「特区民泊」について、府内34市町村(保健所設置市を除く)を対象に行った意向調査の結果を9月2日に公表した。
泉大津市、茨木市、大東市、箕面市、藤井寺市、四條畷市、島本町の7市町が新規申請の受け付け停止を表明し、既存施設の営業は継続を認める。泉南市など4市町は住宅地での新規を制限し、20市町は現状維持。河内長野市と高石市は未定で、交野市は制度を導入していない。
寝屋川市も8月に「まちづくりに必要ない」として離脱を決めており、実質8市町が制度運用を終了する見通しとなった。
特区民泊は2015年に訪日外国人の急増を背景に始まり、一定の滞在日数を条件に住宅での宿泊を可能とする制度として広がった。一方で、ごみ出しや騒音など生活環境への影響が課題とされてきた。
吉村洋文知事は9月3日の会見で「需要の少ない自治体で無理に続ける必要はない」と述べ、各市町の意向を尊重する姿勢を示した。その上で「制度の運用には地域の温度差がある。調整役として府が連携を図り、住民サービスの安定と観光政策の両立をめざす」とも語った。
府は今後、調査結果を踏まえて大阪市や中核市と歩調を合わせ、11月の国の認定会議に向けて実施区域の見直しを申請する方針。大阪市も現在、制度見直しの是非を検討しており、今後の判断が注目される。
特区民泊、7市町が新規停止表明 吉村知事 自治体判断を尊重
