【外から見たニッポン】何かがおかしい、素晴らしい国、日本。

Spyce Media LLC 代表 岡野 健将

Spyce Media LLC 代表 岡野健将氏
【プロフィル】 State University of New York @Binghamton卒業。経営学専攻。ニューヨーク市でメディア業界に就職。その後現地にて起業。「世界まるみえ」や「情熱大陸」、「ブロードキャスター」、「全米オープンテニス中継」などの番組製作に携わる。帰国後、Discovery ChannelやCNA等のアジアの放送局と番組製作。経産省や大阪市等でセミナー講師を担当。文化庁や観光庁のクールジャパン系プロジェクトでもプロデューサーとして活動。

 イスラエルがイランへの反撃に出たことを受けて日経平均は急激に値を下げ、市場は一時パニック状態になりました。昨年からこれまでの中東での動きや、昨年後半からの株高などから考えて、現在起こっていることはほぼ想定内での出来事なのに、世間はうろたえ、ニュースは予期していなかった事が起こったかの様に取り上げました。

 事実の認識や現在起こっていることから「将来何が起こるかを予測する能力」が欠けているのではないかと思って心配になります。

 日本はダメだ、物価が高い、仕事がない、と日本人が悲観するこの国には、大量の外国人がやってきて、「日本は素晴らしい国。文化も歴史もあり尊敬出来る。食べ物は美味しいし、製品の質は高いのに価格はとても安い」とベタ褒(ぼ)め。 何かがオカシイと感じているのは私だけなのだろうか?

 外国人と一緒に仕事をすると、彼らは日本について先に挙げた様なコメントを交えながら褒めてくれる場面によく出会います。外国人に見える、または認識出来る日本の良さ、素晴らしさをなぜ日本人は同じ様に認識出来ないのだろう? いろいろ考えて思いついた事は、日本人は国内の事しかみておらず、もっと突き詰めると自分の身の回りや、今の生活スタイルの中で取込む情報を介して知っているとても狭い世界の中だけで生きていて、そこで得た情報を物差しにして物事の善し悪しを判断しているのに対して、外国人は(もちろん全ての外国人ではないが)、国内外を見て広い視野を持ち、これも国内外の情報をさまざまなメディアなどを通して見聞きし、世界には複数の価値観や宗教観があり、考え方や意見、生きて行く上での価値基準にも違いが存在することを知っているので、物事の善し悪しに対して相対的に判断していると思います。

 日本の物価は先進国だけでなく中進国でも中間層以上がみれば高いと感じる程ではなく、提供される製品やサービスの質と比較するとかなり割安感があるのは事実です。それは他国の製品やサービスの質と値段を知っているために、その比較ができるからこそ言えるわけです。

 それに対して30年近く変わらなかった物価がほんの数%上がっただけで大騒ぎする方がオカシイという事に気付きもしません。身の回りの狭い世界に閉じこもって、自分の考えにそぐわない意見や行動、社会規範を頭ごなしに否定し攻撃するのではなく、もっと広い視野を持って物事を客観的にみて、相対的に捉えると全く違った世界が見えてくるはず
です。

 日本は本当に良い国ですし、日本人の持っている能力はかなり高いのに、それが上手く活かし切れていないために、不必要な苦労を強いられているのではもったいなすぎます。

 問題がないとは言いませんが、もっと明るい未来を想像し、自ら前に踏み出し挑戦し続けていけば、あなたも日本の素晴らしさ、自分がいかに恵まれた環境にいるかを認識できる様になると思います。現状を否定せず、現状に甘んぜず、今この瞬間から動き出しましょう。