ニューロドライバー Vol.1 

~〝個性〟を自由に乗りこなす人たち~

 ”ニューロドライバー”はニューロダイバーシティー(神経多様性)と運転手のドライバーを掛け合わせた造語。ニューロダイバーシティーは神経発達に特徴的な点があるという考え方で、主に神経発達症(発達障害)のある方の特性を指しています。今回から始まるミニぽのぽのではそれらの特徴を「個性」ととらえ、運転手が自動車を操るように、その個性を存分に発揮して社会を生きる人達をインタビューしていきます。

就労継続支援B型 sabot  大山琴子さん

【ぽのぽの】ニューロドライバー Vol.1 就労継続支援B型sabot 大山琴子さん

 第1回目は神経発達症の一つであるADHDであることを公言し、豊中市の就労継続支援B型事業所sabotのほかにもネイルサロンを経営するHooper Dooper代表取締役の大山琴子さんを紹介。

子ども時代はどんな子?

 感情を言葉にすることができず、衝動性もありました。「ムカついたら殴る」しかできなかったので、周囲から変わっていると言われ続けていましたね(笑)。高校は2校退学、3校目で卒業。一年以上アルバイトは続かなかった。

サボテンとの出会いが転機に

 「早く死にたい」ということ以外は考えてきたことはなく、夢も希望も特技もない。30歳でパニック障害・不安障害・双極性障害を発症し、外に出られなくなって、ADHD、ASDの診断を受けました。その診断によってこれまでの生きづらさの原因がようやくわかりました。32歳の頃、友達に「サボテン」をプレゼントしてもらい、それが人生の転機になりました。植物を育てることにも苦手意識があった自分が、サボテンなら何時間も触っていることができたんです。

就労継続支援B型事業所 sabot
スタッフ、利用者の方に囲まれた毎日。インスタグラムでも日々のドタバタを楽しく配信している

ミスや癖も個性

 植物は色や形がほかと違うことに「希少価値」があります。自分を知り障害について学ぶことで、障害によるミスや癖も芸術分野なら個性になるんじゃないか!「サボテンならできるやん」と思い付いたら速攻でサボテンを育てる事業所をはじめていました!内職のような仕事だけではなく、かっこいい物販もやる。オンラインショップの店名は自分自身を表す「最終的にサボテン!」。ウチの事業所では代表の私が誰よりも失敗しているから、利用者さんも「失敗してもいいんや!」と安心できる、夢を語り合えるようになりました。

これからの夢は?

 B型事業所では、まだまだ事業所と利用者やお仕事の内容にミスマッチが起こっています。私の場合は、家を出ることで精神が安定したので、発達障害の方なら親元から離れて暮らす方がいい方もいると思う。私はsabotから徒歩すぐのグループホームを利用者さんと一緒に見学に行ったり、とにかく自分らしくいられる場所探しのお手伝いならなんだってします。ADHDの特性でエネルギーが有り余っていますから(笑)。実は近所の賃貸アパートの空き部屋リストも持っています。ゆくゆくはより幅広い支援ができるように計画相談事業所をやりたいと思っています。

■取材協力/就労継続支援B型事業所 sabot
 豊中市庄内西町1-1-1
 電話06(7897)0011
sabot -就労継続支援B型事業所- (peraichi.com)