2022/1/29

TOP INTERVIEW 
株式会社 ES&Company 代表取締役CEO 中岡真吾氏

「買ったら終わり」でなく、「買ってからが始まり」

 ─創業わずか4年ながら、大阪市内の中古タワーマンションの取引数でトップ。市内中心5区ではタワーマンションの販売シェアが市場全体の約15%にも上っています。好調の要因は何ですか。

 物件を購入しようとした際、顧客に与えられる選択肢は多くありません。特に高価格なものほど囲い込まれ、限られた中からしか選べない。これが日本の不動産仲介の現状です。

 弊社はこの不透明さを打破するため、独自システムでほぼすべての売り物件をカバーする仕組みを整えました。業界の透明性に対する取り組みが顧客に支持されたと確信しています。

 ─大阪の次は東京、そして世界に向けてのアウトバウンドとインバウンドの整備を視野に入れておられます。

 そのためにも当面は、大手不動産会社がライバルです。ビジネスは売上ではなくシェアで決まりますから、タワーマンション市場のような局地戦を選んだのも理由の一つです。

 事業を拡大していくには、これまでの不動産仲介のやり方では、やがて限界を迎えると考えています。大局を見据えて既存のビジネスモデルから脱却し、そして、海外の方に安心して日本の不動産を購入していただく準備が必要です。

 ─売買手数料を当てにした従来モデルではなく、ユーザーの資産形成に軸足を置いたのもそのためですか。

 そうです。不動産会社はよくお客様から「買ったら終わり」と言われます。しかし、我々はLTV(顧客生涯価値)を重視し、長く顧客に寄り添うサービスを提供していますので「買ってからがスタート」になります。顧客の資産を守りながら増やすのがミッションです。

 ─具体的にはどのような。

 リフォームが必要になったらES&Craft、転居などで「賃貸に出したい」となればES&Proasset、50社以上の家具ブランドと提携し、高品質の家具を店より安く購入できるES&Managementなど、顧客に必要な会社を自社で設立し、ホールディングス化しています。

 自社にこだわったのは、タワーマンションの売買という事業を軸に、顧客への付加価値を高めるためです。顧客からすれば一つの窓口であらゆるサポートを受けられるので利便性が増します。

 ─タワーマンション専門にしたのも、その資産性からですか。

 はい。現状では数ある住宅の中で、最も資産性を損なわないのがタワーだと確信しています。他の物件に比べ、タワーは賃料が高く取れるから投資効率が良いですし、相続税の圧縮効果も高い。

 加えて、現在のコロナ禍のような状況下でも価格変動が少ないように、経済情勢にも非常に強いと言えます。2008年のリーマンショック時も同様で、瞬間的に値下がりしましたが、すぐに元に戻りました。

 ─日本は少子高齢化で人口減が進んでおり、住宅価格の下落を心配する声もありますが。

 都心のタワーマンションに限ってはあまり心配はないと考えます。タワーは国内需要だけでなく、海外からの投資も引き付けるマーケットだからです。英ロンドンでは半分を海外の人が所有しているのに対し、日本はまだ1割ほど。伸びしろはまだまだあります。

 大阪という小さな商圏規模だけで捉えると気づきにくいですが、世界から見れば東京は安いですし、東京から見れば大阪が安いのが実情です。

 さらに弊社では、タワーの中でも特に資産性を維持できる物件を客観的評価で見比べられるようにしています。

 ─タワーズギャラリーに来れば、そういった情報にアクセスできるんですね。

 はい。新築・中古を問わず、タワーに関するほぼすべての物件情報が手に入りますし、それぞれの資産性も見比べられます。定期的に開く投資セミナーに参加して学びを深めたり、税制や投資のスペシャリストから直接アドバイスを聞けたりもできます。

 このほか、ギャラリーでは海外不動産などの投資情報も手に入ります。現在はマレーシアのマラッカで建設が進む5つ星ホテルやレジデンスからなる大型複合施設「THESAIL」を1室単位で売買できる案件をご案内中です。

 不動産投資に限らず、コラボイベントにも力を入れていて、現在はパラリンアートと呼ばれる障がい者アートをギャラリーで観覧できます。気に入ったら購入も可能です。オーナー専用サロンも設け、ドリンクバーも備えているので、ぜひ気軽に立ち寄ってください。


【プロフィール】 なかおかしんご 1985年、大阪市和泉市生まれ。株式会社大京でディベロッパー事業と仲介事業を経験。不動産業界の「情報整備があいまい」「不透明な取引が多い」ことを痛感し、業務に従事しつつ「マッキンゼー講師による社内大学」「関西学院大学院」で経営について学ぶ。その結果、大手不動産会社の中にいては現状を打破することは難しいと悟り、真の顧客満足を追求するには、その道をゼロから作っていくことが必要という結論に至り、2017年に起業。タワーマンション市場でランチェスター戦略を利用したブランディングを展開し、短期間で大阪ナンバーワンの販売実績を達成する。


>>見える物件 氷山の一角 変革必要な日本の住宅取引