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2022/10/22

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

北朝鮮はなぜ、ミサイルを撃つ?

5年ぶりに鳴り響いたJアラート

 10月4日早朝、北海道と青森にJアラートが5年ぶりに鳴り響いた。北朝鮮のミサイル発射によるものだ。日本の上空を飛び越え、3千キロ離れた太平洋上に落下。方向こそ違うが、米グアムが射程に入る距離だった。

 今年に入り北朝鮮は40発以上のミサイルを発射。その度に岸田総理は「厳重抗議」を発し続けるが、北朝鮮から反論もなければ、何のリアクションもない。それどころか「次は7年ぶりの核実験?」と専門家は緊張する。

 読者の中には「北朝鮮という国はなぜ、こんなにミサイルを撃つのか?」が理解できない人もいると思う。「軍事演習へのけん制」「ワシントンまで到達可能であることを見せつけた」などとその都度、理由づけはあるが、いまいちピンと来ないのではないか。

 北朝鮮の目的はただ一つだ。今回はそれを完璧に学んでおこう。

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ミサイルは運搬手段

 ミサイルは、露のウクライナ侵攻で私たちもその恐ろしさを知った。短距離、中距離では真っ直ぐ飛ぶだけでなく、不規則な軌道を描いたり、マッハ5(音速の5倍)の超音速で飛んだりして迎撃を免れるタイプも。長距離はICBM(大陸間弾道弾)と呼ばれ、北朝鮮の「火星12」は飛行距離5千キロでグアム、「火星14」は5500キロでハワイ、「火星15」は1万キロで米西海岸のロスなど、「火星17」は1万5000キロで米東海岸のニューヨークやワシントンがそれぞれ射程に入る。

 北朝鮮のミサイル開発総責任者は、金正恩総書記の妹、金与正国務委員。日本海に向けて頻繁に撃っているのは短中距離タイプ。長距離は普段の実験ではわざと高く上げほぼ垂直に落下させて飛行距離などをチェックしているが、それだけでは大気圏からいったん高度1000キロ程度の宇宙に出て再突入する角度のチェックが十分できない。このため、4日のようにリアルに遠くへ飛ばす必要があった。

 北朝鮮は敵に先制攻撃されずに発射しようと、基地だけでなく陸の大型車両や貨車、海の潜水艦、空の戦闘爆撃機といった移動式装置の開発を急いでいる。

 今回の発射について、北朝鮮はメディアを通じ「米韓軍事演習への報復」を示唆。米韓側は「こちらを神経質にさせるため」と見ているが、私は「純然たるミサイル精度を高める目的」と違う見方をしている。4日のミサイルも、北朝鮮にとって日本はもはや眼中になく、米国領域に到達する威力を試す必要があっただけだ。

核実験再開は中国にらみ

 「核拡散防止条約」(1968年)により、世界では米仏英露中の5カ国以外は核兵器を持てない。新たに核兵器を持った印パ両国と、保有を明らかにしていないイスラエルは条約に未加盟。北朝鮮は2003年に脱退した。先に核兵器を持っていた国はOKで、後発国はダメという不平等条約で核なき世界℃タ現にはほど遠い内容だ。

 北の非核化に関しては、かつて「6カ国協議」(米中露韓朝日)で朝鮮半島の非核化≠ェ合意されたが、北は約束をほごにして核実験を強行。以来、7年間も協議が開かれていない。

 北は06年のフセイン大統領(イラン)、08年のカダフィ大佐(リビア)が民衆蜂起によって倒され、殺されたのを目の当たりにしている。「核兵器がなければ、米を後ろダテに民衆蜂起を起こされトップが殺される」と恐怖を抱いている。このため、核の使用をチラつかせた威嚇で、現体制を何とか維持しようとしている。ウクライナ侵攻でも証明されたように、核のどう喝が西側に最も効果的なことを知っているからだ。

 核をミサイルに乗せて飛ばすには小型・軽量化しなければならないから、核実験が欠かせない。米韓の研究機関は共に「準備はすでに5月頃に完了している」と分析。北にとって最大の貿易相手で、後ろ盾でもある中国は16日から共産党大会が始まっている。習近平主席が強く北の核実験に反対しているから、大会終了までは自粛するはずだ。

 一方で米国は11月8日に中間選挙の投開票日を迎える。対北政策で厳しく当たるバイデンの足を引っ張るため、その日までに核実験を行い、交渉に応じてくれたトランプ前大統領の共和党を有利にしたい思惑がある。ウクライナ侵攻以降は露と急接近しており、「二股掛ければ、中国も無視できない」との足元を見た読みもある。

一族のための国体護持

 北朝鮮は金一族で三代世襲という近代ではまれな専制国。国民1人当たりのGDPは700ドル(10万円程度)で韓国の50分の1。WFPの調べでは国民の4割、約1100万人が栄養不足という世界最貧国の一つだ。人口は約2600万人で徴兵制の軍人が100万人の極端な軍事国家。国家予算は5千億円程度とみられ、大阪府(3・5兆円)の7分の1。ミサイルは1基打ち上げるのに5億円程度掛かるから国民を無視した先軍政治国といえる。

 軍事パレードに登場するミサイルは、通常兵器が手薄な北にとって一点豪華な強力兵器であり、専制国相手に武器輸出し、外貨を獲得している。自由主義国では、国家は国民のために尽くさなければ選挙で落とされたり、人口が流出したりしてしまうが、専制国では国民に移動や政権選択の自由はなく、ひたすら奉仕させられる。

 北の最高人民会議は核兵器使用を金総書記に一元化。総書記が必要と判断すれば、いつでもどこへでも先制攻撃できる権限を与えた。総書記は昨年1月に「国防科学発展と兵器システム開発5カ年計画」を発表。要約すると@米国に届く長距離ミサイルの命中度向上A核弾頭の小型化B新型原子力潜水艦の建造C500キロを飛べる無人攻撃機開発D軍事偵察衛星の打ち上げEすぐ使える戦術核開発、を掲げている。これらすべて金王朝の体制維持のためにしか役立たない事柄だ。

ミサイル襲来で半数は撃墜できる

 日本の北に対する防衛力は十分なのか?先日、露がウクライナ全土をミサイル攻撃し、2日間で112発を打ち込んだ。対するウクライナは欧米から提供された防空システムで半数以上を撃墜し、着弾したのは49発だった。これを例に取ると、北から発射されたミサイルも5〜7分で日本に到達。発射直後から空自の防空システム「JADGE」が捕捉し、イージス艦と迎撃ミサイルPAC3で対抗する。発射数が膨大なら約半数は着弾する危険性がある。

 4日の日本上空を通過したミサイルは領空侵犯はしていない。領空は大気圏だけではるか上空1千キロの宇宙を飛行して飛び去る分にはあえて迎撃しないのが日本のやり方。日本には正式な防空ごうはないので、仮に大阪でJアラートが鳴ったら、もよりの地下鉄道駅や地下街が最も安全ということになる。

対北の手だては3つ

 日本のすぐ横には、核搭載ミサイルを持った専制国として北朝鮮だけでなく、中国とロシアがある。この極東立地からは絶対逃げられず、さりとて「米の核の傘の下なら安心」という理屈は、「核兵器こそ生命線」の北と発想的には同じレベルでしかない。世界唯一の被爆国としてもっと知恵を出さなければならない。

 それでも北が暴走する恐れがあれば、日米韓3カ国共同での対応選択肢は3つ。@北と交渉し、現状維持しながらコントロールするA核兵器保有国≠ニして北の主張を認め、制裁解除するB斬首作戦≠ニ呼ぶ金総書記を狙った殺害計画を実行、北の政権を転覆させる、だ。いずれにせよリスクは避けられないから相当の覚悟が必要だ。

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