週刊大阪日日新聞

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2022/4/23

インフレで米国株に黄信号 

新米投資家記者の勉強会

 5、6月は「セル・イン・メイ」という格言があり、株価にとって例年厳しい月だ。しかも、このタイミングに米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)の金融政策を決める会合FOMC(5月4日)で、0.5%刻みの大幅利上げを2回連続で実行するのではないか、との予測も。前回、2000年の大幅利上げの時は株式市場のITバブル崩壊につながっただけに、気が気ではない。現在の米金融政策と株価の関係をわかりやすく解説する。

ついに、逆イールドが発生! これから景気後退?

 4月に行われたFOMC議事録から2つのポイントを紹介しよう。一つは、「5月のFOMCで0・50%の利上げをする。必要であれば6月も利上げの用意がある」と。もう一つは、FRB総資産の圧縮(QT)がいよいよ着手される可能性があること。7月までに最大950億ドルの縮小を計画。内訳は、米国債600億ドルと、住宅ローン担保証券(MBS)350億ドルだ。

 わかりやすく言うと、利上げでお金が借りにくくなる上、FRBの資産圧縮は市場に出回っているドルを減らす行為と同じだから、現金(ドル)の価値が上がる一方で、株の価値が下がる傾向が今後加速するということだ。

 ちなみに2017年〜19年に行われたQTは毎月500億ドルが最大だったから、今回のQTはより規模が大きい。

 なぜ今、こうした金融引き締めを急ぐのか?

 理由は、加速するインフレの退治だ。FRBは今後のインフレ率(PCE物価指数=個人消費支出)を、22年末4・3%、23年末2・7%、24年末2・3%、長期2・0%と予想している。過去に0・5%の利上げが2回続くのは非常に稀だったから、例のない引き締め。株式市場はすでに、この大幅利上げを相場に織り込んでいるとの声もあるが、あらぬ方向にいくリスクも想定しておくべき。

足元の米国経済は?

 この金融引き締めによって、米経済はリセッション(景気後退)入りするのではないかと言われている。

 過去を振り返るとリセッションには前兆があるようだ。それは、米10年債利回り(長期金利)と、2年債利回り(短期金利)の金利差がゼロになるか逆転するときだ。通常、債券利回りはより長期の方が高くなるが、長期より短期の方が高くなる逆イールドという現象が起こる。すでに4月初旬に1回、金利差がゼロになった。

 しかもリセッション入りは今すぐに来るのではなく、過去も逆イールド現象が起きてから1〜2年先に始まっている。このとき米国の株価はマイナス20〜30%、もしくは45%の大きな下げに見舞われた。

 現在の米国で主に2点のリセッション懸念が挙げられる。一つは、金利上昇による住宅販売の陰りだ。コロナ禍以降、米国も超低金利だったことと、リモートワークの普及で、郊外や地方都市への住み替えブームがあった。しかし、利上げで米10年債(長期金利)が上昇し、住宅ローン金利も上がっている。

 二つ目は、米国の消費者の景気マインドが低くなっていることだ。失業率は低く、雇用も好調、給与も上がっているから消費者のマインドは本来、高いはずだが、下がっている一番の要因はインフレだ。小麦やエネルギー価格が高騰し、手取り収入でぜいたく品を買う余裕がなくなった。車社会の米国では、ガソリン代が上がると通勤費にも影響する。スーパーもすべてのモノの値段が高くなった。

 今回のリセッションは、家計部門の負債比率が多くなったり、クレジットカードローンの返済に窮しているものとは異なる。エネルギーや食品高騰が徐々に消費者マインドを害しながら訪れてくると予測されている。

 リセッションは避けたい現象だが、経済は「拡大→ピーク→縮小→谷→回復→拡大→・・・」の循環サイクルがあるから、必要不可欠なことでもある。

米国経済のキーワード

FRB(連邦準備制度理事会)=米国の中央銀行のこと。
FOMC(連邦公開市場委員会)=金融政策を会議する会合。
QT(量的引き締め)=市場の資金の流れを引き締めること。
コロナ禍での金融緩和(QE)を解除し正常化すること。

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