2021/12/25
来年の大阪、どんな街に? 急ピッチで進む経済再建
動き出す人々 応えるオモロイ街創り

東京五輪開催の是非、コロナ禍の度重なる緊急事態宣言に明け暮れた2021年も間もなく終わり。新たなオミクロン株の行方が気になるが、世界は着実にポスト・コロナ≠ヨ経済再建が急ピッチ。私たちの大阪は来年どんな年になるのか?予定イベントや誕生する新スポットから新たな見どころを探ってみよう。
楽しみなOSAKAニューフェースたち
USJと通天閣が面白い

▲「バーチャル大阪」のエントランスエリアのイメージ
コロナで2年連続して軒並み中止になったイベントや行事は、緊急事態宣言終結と共に息を吹き返している。今年は年越しのイルミネーション点灯もおなじみ御堂筋をはじめ、あべのハルカス、なんばパークス、海遊館など各地で行われている。
エンタテインメントの世界も元気だ。大阪を代表するテーマパークUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)では、1月21日から人気ゲーム「モンスターハンター」をテーマにした常設VR(仮想現実の空間)アトラクション「モンスターハンターワールド:アイスボーン」が登場。3月から「名探偵コナン・ワールド」がいずれも8月末までの限定で登場。秋にはポケモンが加わる予定。
枚方パークでは3月から「鋼の錬金術師展RETURNS」を開催。10年以上前に連載は終わったコミックだが、今なお人気がある。
既存の観光地も負けてはいない。新世界の通天閣は、22年ゴールデンウイーク完成予定で3階の中展望台から一気に地下1階まで滑り降りる全長60mのスライダー設置を発表。地上22mから斜度30度という急斜面を約10秒で突っ走るのだから、かなりのオモロイ企画で話題になること必至。
伝統芸能助成で気軽に鑑賞

▲中之島の中央公会堂でゲストに人気者ミルクボーイを迎えてのアートイベント
府と大阪市が協力して上方伝統芸能や演芸、音楽、演劇、アートなどを支援するさまざまな催しが「大阪文化芸術支援プログラム」だ。コロナによってパフォーマンスの機会を奪われた演者に対して助成金を出し、独自公演を開催してもらう試み。コロナ前にインバウンド需要を狙って始めた上方伝統芸能文化発信のための「大阪文化芸術フェスティバル」も取り込んで規模を広げている。既に中之島の中央公会堂でゲストに人気者ミルクボーイを迎えてのアートイベント、吹田市・万博記念公園などで音楽、ダンスイベントをはじめ、大阪城ホールではコブクロやCHEMISTRYなどの大物が出演してのライブイベントを開催。あいさつに立った吉村洋文府知事は「府市の共同事業でコロナを乗り越えたい。新しいことをやるのが大阪」と25年の大阪・関西万博まで継続させることを表明。さっそく2月から個々がアバターを作って参加する「バーチャル大阪」を本格稼働させることを決定、コロナで一気に仮想現実空間のイベントが広がった印象。
このイベントの特徴は音楽・演劇・、お堅い能や文楽などから大衆芸の落語まで非常に幅広くコラボしている点で、見る側にとっては公費助成がある分、割安で実演鑑賞できるメリットがある。
美術館や星野リゾートも

▲約14,000平米の敷地に緑豊かなガーデンエリアを設ける「OMO7大阪 by 星野リゾート」
新年オープンの施設を見てみよう。
2月に中之島に開館する「大阪中之島美術館」は本来1989年の市政100周年記念事業として80年頃に構想は出来たが財政難や必要論議で延び延びとなり、結局完成まで約40年を擁した。伝統ある大阪市らしく所蔵の絵画、彫刻などの美術品は約6000点にものぼる。私も内覧会で館内見学したが、歩行者用アーケードや周辺を自由に歩ける散歩道など、来館者だけでなく周辺の人々も気軽に訪れてもらえるように配慮された設計。オープニング記念展は「モディリアーニ展-愛と創作に捧げた35年−」。
春には梅田ターミナルの阪神百貨店と新阪急ビルを建て替えた高層ビル「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」(地下2階、地上38階)が完成する。ビルは21年秋に一足先に全面開業した阪神百貨店を含み、新たにお目見えする「カンファレンスゾーン」には、イベントやセミナーに使えるコンベンション施設(大ホール900席、小ホール132席)を設置。ここは大規模災害発生時には、帰宅困難者のための臨時滞留施設にもなり最大ターミナルの危機管理機能も兼ねている。これに伴い、現在の阪急うめだ本店の入るビルは「大阪梅田ツインタワーズ・ノース」に改称。御堂筋北端を挟んだ2棟が阪急阪神グループのシンボルとなる。
もう一つ梅田ターミナルには、地下鉄東梅田駅と新御堂筋南詰めに挟まれた旧大阪北小跡地に、超高層複合タワー「梅田ガーデン」が3月に完成。中高層部はマンションだが、低層部には店舗。敷地内に交流広場が予定され憩いの場として活用できそうだ。
ミナミでは、JR・南海新今宮駅前に「OMO7(オモセブン)大阪by星野リゾート」が4月に開業。この地域は古くから自由労働者の街として知られ、かつては女性や若者は敷居が高かったが、近年は大阪の風情を色濃く残す新世界界隈が串カツなどのB級グルメ人気もあって再評価が進む。1万4000平方mの広大な敷地には緑も豊かで、街自体を作ってしまうスケールの大きさだ。
新年度4月にお目見えするもう一つの新顔は「大阪公立大」。大阪維新の会による府市統合計画「大阪都構想」のシンボルとして、大阪府大と大阪市大が統合され大学と大学院の学生数1万6000人は公立大としては日本最大規模。25年の森之宮キャンパス開設まで阿倍野、杉本町など府内6個所にキャンパスは分散。肝心の「都構想」は大阪市民に対する2度の住民投票で否決されただけにいささか間が悪いスタートに。しかし、工学系の府大に対し、市大の医学系など得意分野が異なるだけに、都立4大学を統合した東京都立大のような都市型に特化した研究機関として期待されている。
大阪マラソンは「びわ湖」統合
最後に、コロナで自粛が続いていた市民参加型のスポーツイベントで22年に復活が決まった物も次第に出始めている。市民に定着している大阪マラソンは、毎年11月末ごろに行われていたが、昨年20年は中止。今年21年はいったん延期となり、22年2月27日にびわこ毎日マラソンと統合して「第10回大阪マラソン・第77回びわ湖毎日マラソン統合大会」として再スタートする。御堂筋などの市内中心部をコースに定員3万5000人、制限時間7時間は福岡国際マラソンが開催終了した現在では西日本唯一の大規模大会であり、ファンの期待も大きい。
■大阪万博「大阪パビリオン」外観公表 屋根から水が流れる幻想的空間
■児童「命の尊さ受け継ぐ」 阪教育大付属池田小事件から21年
■リベンジ旅行で国内は回復 コロナ禍前の9割弱 夏休みの旅行予約動向 エイチ・アイ・エス
■梅田の真ん中にドッグラン LINKS UMEDA 1階にオープン
■サントリー本社屋上 3年ぶりビアガーデン 7月1日から開催
■親の相続 約3割がトラブル想定 ベンチャーサポート相続税理士法人が実態調査