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2021/12/11

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

オミクロン株の正体 変異種出現で株価が急落

変異種で一喜一憂 なぜ!? ただの風邪≠ノなるには治療薬


▲忘年会シーズンを控え、オミクロン株の感染拡大の行方に戦々恐々とするキタ新地の飲食店街

 南アフリカで新型コロナウイルスの新たな変異「オミクロン株」が出現し、世界中で株価の急落が起きている。日本ではようやく第5波が収まり、年末年始に向けて動き出した時期だっただけに「またか!?」の衝撃が走った。聞き慣れない名前を含めて、その正体を徹底研究してみよう。

オミクロンの素顔

 まずはWHO(世界保健機関)が最も警戒度が高いとされる指定の「懸念される変異株」から見ていこう。発端は中国・重慶で見つかったとされる新型コロナ野生株。最初に変異して指定されたのが英国型と呼ばれる「アルファ株」、続いて南アフリカ型の「ベータ株」、3番目がブラジル型の「ガンマ株」、日本でも今夏から秋にかけて大流行した4番目のインド型「デルタ株」。そして5番目が今回の「オミクロン株」だ。

 コロナウイルスは2週間程度で変異を繰り返し、他にもペルー型「ラムダ株」やコロムビア型「ミュー株」などがあるが、流行が局地的だったものは警戒指定には至らなかった。

 「オミクロン株」は言わば第2南アフリカ株≠ネのだが、これまでのゲノム調査からすでにアフリカ大陸で10月には存在していたとみられ、検査設備が整った同国で、たまたま特定されたに過ぎないようだ。

 これまでの指定株との違いは何だろう。それは変異が32カ所と驚くほど多いことだ。従来設計のワクチン注射だと感染防止効果が弱くなる危険性が高い(重症化阻止には引き続き有効)。また初期・中期治療の抗体カクテル薬も多重変異がウイルスへの結合力に影響を与え、増殖阻止に悪影響を与える危険性が指摘されている。

 つまり、既存のワクチンがもたらす効果や、抗体カクテル治療の効果をすり抜ける疑いが出ているのだ。

感染力強、重症化弱?

 感染力の強弱はどうやって決めているのか。

 「オミクロン株は空気感染するほど強い」と一部で大騒ぎしているようだが、もともとコロナウイルス自体は空気に乗って漂うほど軽い。空気中で生き残る生命力+漂う量が強弱のポイントだ。

 新型コロナはすべて、飛沫感染と空気感染を含む呼吸器から吸い込む感染と判っているから、オミクロン株で特段大騒ぎする新事実ではない。だから感染防止に重要なのは皆の耳にタコができた「三密」回避と正しいマスク着用が重要だ。

 もともとコロナウイルスには変異して生き残ろうとする特性がある。すぐに重症化されて宿主が死んでしまえばウイルスも生き残れない。だから、生き残るために感染力を強める一方で、人間と共生しようと弱毒化する性質がある。「オミクロン株もそうした傾向があるのでは?」の仮説もあるが、年末あたりに医学的に見極められるまで油断は禁物だ。

出口は治療薬しかない

 3回目の通常ワクチン接種は有効なのか? オミクロン株用ワクチン接種が先なのか? 結論的にはオミクロン用ワクチンはすぐにできないから、3回目の通常ワクチン接種をまず急ぐべきだ。2回目接種から3カ月が過ぎれば、抗体免疫力は個人差こそあるがゆっくり低下する。

 厚労省は当初、「2回目から8カ月後」に固執していたが、岸田総理は繰り上げ接種に柔軟な姿勢に切り替えてきた。もともと医学的には8カ月待つことに何の意味もない。再び免疫抗体が強まれば、感染しても重症化を防ぐ効果が期待できる。それには単に自治体の接種対応を急がせればよいだけ。夏頃のワクチン接種時に市町村行政能力によっての進捗にバラツキがあり、他方で企業や学校単位の職域接種がドンドン進んで、ワクチン配送が一時後手に回り非難されたトラウマが厚労省にある。この際、無理して平等接種するより、過去の感染拡大例をチェックして危険性が高い東京や大阪など都市部での感染者数をまず抑えるために、ワクチンを優先配布するのが国として取るべき危険回避の道筋だ。

 その点、岸田総理はオミクロン株水際防止での海外からの邦人帰国に対し、国交省が先走って「帰国便予約ストップ」を航空会社に要請しても、すぐに撤回。一部で朝令暮改≠ニ非難されたが、一度決めた事に固執し過ぎて説明責任を果たさず短命に終わった菅前総理より、よほど柔軟に危機管理へ臨機応変に取り組んでいて素早い対応実現が期待できる。

 政府の最大の仕事は、オミクロン株の正体を見定めるまでひたすら時間稼ぎし、市中感染を食い止め第6波入りを食い止め、自国民の生命と経済を守ることだ。

決め手は治療薬完成

 ワクチンはあくまで予防薬であり、新型コロナをただの風邪として扱えるようになるには、治療薬の完成が必要だ。そうなれば変異株が出現するたびに恐れなくてすむ。

 日本では、まず独メルク社のカプセル「モルヌピラビル」が特例承認され、政府はすでに160万人分を1300億円で契約 (1人分約8万円)。臨床例の最終分析によると、重症リスクを3割下げて死亡例は1人ということだ。仕組みは人体細胞内で新型コロナウイルスが増殖するために必要な要素を阻害する。ただしアビガンと同様に妊婦や子どもには使えないなどの使用制約はある。

 ほぼ同様の仕組みで米ファイザー社の錠剤「パクスロビド」と塩野義製薬社の錠剤「S−217622」も完成に近づき、すでに治験レベルの研究薬として使用が進んでる。現在、塩野義は国内のコロナ患者激減で日本人に対する治験作業に遅れが生じており、政策的な国支援と国策としてのサポートが必要だ。

年末年始の大阪は?

 9日から大阪で開催予定だった国際フィギュアスケート界の頂上決戦・グランプリファイナルは、外国人選手が入国できず中止に。コロナ禍で2回目の忘年会シーズンとなり「今年こそ」と期待し準備するキタやミナミの飲食店は、11月下旬頃から人出でにぎわっているが「オミクロン株で再び水の泡?」と戦々恐々。北浜の株価もビクビク模様眺めだ。

 コロナ禍に対する対策危険度基準は、すでに単純な「感染者数」から専門病院「病床ひっ迫度」へと切り替わっている。私たちも恐れずに前を向いて日常生活の回復へ踏み出そう。

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