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2021/11/27

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

エコか?エゴか?それが問題だ!

COP26閉幕も難問山積

 地球の環境対策を120カ国で話し合うCOP26(国連の気候変動枠組み条約に対する第26回目の締結国会議)が今月12日まで英国のグラスゴーで開催され、「グラスゴー協定」が結ばれた。今年のテーマは「石炭」。最もCO2(二酸化炭素)を出す石炭火力発電の「段階的廃止」を唱い上げるはずが、土壇場で中国とインドが難色を示し、「廃止」を「削減」へと格下げ。CO2の排出ゼロという総論には賛成するが、自国は除外と各論には反対するという各国のエゴがぶつかり合った。温暖化対策はどこへ行くのか?

原発にこだわる日本 再生エネへ大きく遅れ

国家間対立で進まぬ議論

 主要国首脳のサミットで、地球温暖化が初めて議論されたのは1992年のリオデジャネイロ(ブラジル)開催。「気候変動を止めて地球の生態系を守っていこう」という趣旨で、その後も「京都議定書」(97年)や、「パリ協定」(2015年)で、CO2を削減するために、石炭や石油・天然ガスに頼るのをやめようと話し合ってきた。

 途上国側からすれば、これまで石化燃料をたくさん消費してきた先進国が「地球環境のためにエネルギーを使うな」と言うのは、「お前たちは発展しなくていい≠ニ言われてるのと同じ」と反発。先進国側は支援1000億ドル(11兆円)を約束したのに、未だ十分実行されていないことも協力を渋る原因になっている。

 今回の協定書では、産業革命(18世紀後半〜19世紀)の時期と比べて、世界の平均気温の上昇を1・5℃に抑える目標値には各国は合意。しかし、その目標値を達成のための温室効果ガスを排出ゼロにする時期については、日本や欧米は「2050年」、中国は「2060年」とバラバラ。

 国連の試算でも「仮に2030年の目標ベースのまま進めば、今世紀末の世界平均気温は2・7℃上昇。2050年に排出ゼロを達成すれば2・2℃で済む」というから、1・5℃目標はまさに画に描いた餅=B

分かりやすい「不都合な真実」

 地球温暖化の危険性を示す米ドキュメンタリー映画「不都合な真実」(06年)は翌年の米アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受け、制作したのはクリントン大統領時代の副大統領だったアル・ゴア氏で、同年にノーベル平和賞も受けた。

 私は映画も見たし、京都でゴア氏の講演を生で聞いた。論理は非常に明解で、「地球に欠かせない水は、蒸発して大気に含まれ、雨となって降り注ぎ、川や海にたまり、再び空へと戻る。この人類生存に欠かせない水循環が狂うと、異常気象と呼ばれる豪雨水害や干ばつを引き起こす」という内容。水循環を維持するために、「温暖化とオゾン層破壊を阻止しなければならない」というわけだ。

排出ガスの責任は誰?

 温室効果ガスの約半分は、中印米の3国で排出している。次いで露と日。人口比で見ると日本は中国より多いから悩ましい。昨年の世界排出量は史上最多を更新し、COP会議の成果はどこにも現れていない。

米中の不思議な協調

 経済や軍事、ITまで何でも角を突き合わせている米中が、不思議に手を取り合っているのがこの環境分野だ。中国は今世紀当初まで「我々は途上国」として欧米主導の削減目標に同調しなかったが、習近平主席とバイデン大統領は共に環境対策で陣取り合戦を行っている。米国が世界に後ろ向き だったトランプ時代の負の遺産修復に手間取っている間に、中国は次世代の代替エネルギー開発で一歩リードした。

 中国の作戦は、最先端技術を指導者ごと援助して途上国を取り込むやり方だ。EV(電気自動車)は50万円台で世界シェア4割を握り、太陽光電池パネルは世界出荷量の3分の2を占める。風力波力プラントも次々と安価で開発して世界へ進出している。

日本はどこへ向かう?

 さて岸田政権になったわが国は、果たして菅前政権が掲げた「2050年カーボンニュートラル(温室効果ガス排出ゼロ)」を実現できるのか?

 タネを明かせば「50年ゼロ」の目標値は日本だけでなく、米英独EU韓などの主要国はすべて同様に「50年」と表明。中国だけは10年遅れの「60年」を示したから、大して驚く数字ではない。

 むしろその手前の「30年」目標で各国は「半減」を掲げたのに、日本は「2013年度比46%減」のおよび腰を突かれ、国際環境団体NGOから「気候変動対策に後ろ向きな国」として『化石賞』を贈られる不名誉な結果につながった。

 日本の削減目標が低い理由は液化天然ガス(LNG)の2倍のガス排出がある石炭を使った火力発電への依存度が極めて高いから。31・8%は1ケタ台の英独に比べ、極端に多い。国内炭鉱がずっと以前に閉鎖され、日本人の多くは「とっくに石炭使用は終わった」と勘違いしているが、実際は豪州などからの安価品を中心に地域分散して安定輸入できるエネルギーの優等生なのだ。

 日本は早くから原子力発電を「安全・安価・クリーン」といいことずくめの宣伝で推進し、電力の35%を賄うまでになった。ところが東日本大震災で原発事故が起こり、国内の原発は全停止。現在はシェア6・2%で、環境省の試算でも30年時点で石炭火力は19%までしか下がらない見込みだ。

 では、ちっとも安全じゃなかった原発より、風力、太陽光などの再生可能エネルギーに軸足を移すべきだろうか?

 これらのエネルギーは枯渇しないし温室効果ガスを出さない優れものだ。欠点としては@天候に左右される。電気は需要と供給を同時バランス化させる必要があるので天候不順時のバックアップが必要A発電コスト上昇。日本の場合、風力で米国の3倍、太陽光で中国の4倍かかる。主な要因は送電網構築が不十分なためB広大な土地や海面が必要で、新たな公害対策などで国土の狭い日本には向かない、とされる。

 「だから原発再稼働させてよ」という経産省や政府の本音が見えてくるが、今や原発は「地震大国日本でちっとも安全でなく、対策強化でコストもうなぎ上がり、いったん事故があれば半永久的に地域を汚染しクリーンじゃない」と全国民にバレてしまった。

求められる企業の変容

 もちろん温暖化についての科学的な側面から、脱炭素自体を疑問視する声もある。しかし、世界が脱炭素の流れにあることは変わりなく、企業も変革が迫られている。象徴的なのは自動車販売で、政府は30年代半ばに国内の新車販売をすべてハイブリット車や電気自動車に切り替え、ガソリン車の販売を事実上禁止する目標を打ち出した。

 自動車に限らず、企業が化石燃料を大量に排出する生産工程や輸送、消費プロセスを含んでいるなど場合、企業に資金を貸さない、投資をしないという動きも出るなど、すでに大変動は起きはじめている。

 民主主義国の日本では制度政策を決めるのは、国民の代表である国会。「電気代が上がってもOKだから再生可能エネルギーを進めるのか?世界から叩かれようが石炭・天然ガスを燃やし続けるのか?リスク承知で再び原発に戻るのか?を、ぜひ来年参院選での各党論点にしてほしい。もう私たちも無関心ではいられないのだから。

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