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2021/10/23

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

実感なき不況 デフレの恐ろしさ 

世界的インフレに日本も乗り遅れるな!


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 衆院選が公示され選挙戦ははや中盤へ。10月に入って国内では、原油高・円安・株安の三重苦の最中で電気・ガスをはじめ一斉に値上げラッシュ。これまでデフレとはいえ、生活実感は悪くなかった日々の暮らしだが、それも次第に窮屈になってきた。一方で岸田政権になって新たに登場した「経済安全保障」と言う考え方と、新たな担当大臣。これらはわれわれの生活に何がどう影響するのか? 投票場に行く前に立ち止まって考えてみよう。

危険な原油高騰続く

 秋の連続価格高騰は牛丼、コーヒー、たばこやパンなど日用品にとどまらない。石油製品のガソリンやプラスチック、建築資材の鉄鋼、木材まであらゆる分野に及び、コロナ禍が一段落し、回復基調だった消費の足を引っ張っている。

 日本は賃金が上がらず、物価も低いままのデフレが約30年続いた。国内だけで完結するならそれでも平気だが、原油をはじめとする輸入品は世界需要の伸びに合わせ価格が上がる。当然、物価だけが上がり、個人収入との格差が財布に重く響いてくる。

 今や世界最大のリスクはコロナよりもエネルギー不足。英国ではガソリンスタンドに長蛇の車列、EUでもLNG(液化天然ガス)が高騰。中国では発電不安による度重なる停電が起き、インドも石炭の在庫が枯渇し、各地から悲鳴が聞こえてくる。

実質賃金30年上がらず

 デフレ日本は世界的に見ても成長率は過去20年間で最低。名目GDP(国内総生産)は世界平均の139%に対し、マイナス20%でぶっちぎりの最下位。中国の1414%はともかく、欧米やロシアにも遠く及ばない。国税庁によると、日本の昨年の平均給与は433万1000円。30年前が471万円だから長期低落だ。

 実質賃金でも2014年の消費税8%引き上げから下がり始め、10%になった19年秋には一段とダウン。昨年1月からコロナ禍に襲われ、今年に入ってすぐに昨年の企業実績悪化を受け、超勤やバイト数の削減などで夏にはさらに目減り。実感としては15年を100として97ぐらいまで給与は下がっている。

 一般には「給料が上がらなくても、物価が安ければ困らない。デフレで結構」と言う意見もある。しかし▽物が安いから企業が儲からない→給料が安いまま→物を買えない、と言う悪循環社会だといつまでたっても不況から脱出できない。

 海外からのブランド品が2、3倍に値上がりしているように感じるのは、海外ではその値段で普通に売買されるのに、デフレ日本では高値にみえてしまうから。かつて安い物の代名詞だった肉や野菜の輸入食品も次第に値ごろ感がなくなっている。日本人が大好きな海外旅行も、免税品の買い物や現地でのグルメ食べ歩きにお得感があったが、今や欧米はもちろんアジア各地でも日本人が散財できる価格帯ではない。円安に加えて、諸外国のインフレが半端ではないからだ。

インフレ化のメリットは?

 総選挙での各党がうたい文句にしている「日本に活力を与える施策」。具体的には▽所得を増やす→物を買う→社会が潤う、の景気の好循環を政権が考えるしかない。労働生産人口が不足していて国内で企業立地ができないなら、欧米のように海外から家族ぐるみでの移住を認め、消費の手助けをしてもらう。世界でも例を見ない少子高齢化がものすごいスピードで進行している国だからこそ、待ったなしだ。

 もしデフレを脱却できれば@若者が結婚や出産をしやすくなり、少子化解消に寄与A日本企業の国際競争力が増し、外国企業に身売りしなくてよくなるB外国からの経済的・外交的な圧力に屈しなくなる、といいことがたくさんある。

 IMF(国際通貨基金)は今年の世界成長率を+5・9%とわずかに下方修正した。不安材料として@長引くコロナA原油供給網の混乱B世界的インフレをあげている。特に米国の景気が減速すると、世界同時株安の警戒で株式市場が冷え込む恐れがある。

 こういう時こそ、日本は国債をジャンジャン発行してインフレに乗り遅れず経済の好循環を目指すべき時期といえる。

借金大国心配なし

 一世を風靡(び)した「アベノミクス」の三本の矢は、一つ目の市中に資金をジャブジャブ供給する異次元の金融緩和、二つ目の公共投資を中心とした財政政策までは分かりやすくてよかった。肝心の最後 の三本目の矢である「成長戦略」が、国内の民間投資や海外からハゲタカまで呼び込む結果になった市場開放、規制撤廃に捕われすぎた。岸田総理はこの部分を軌道修正し、小泉内閣以降の新自由主義の見直し≠提案。「成長と分配」をスローガンにしているが、具体的内容はすべて総選挙後に先送りされている。

 総選挙では与野党ともに公約でバラマキとも映る現金給付施策を発表。一方でこれらに「待った!」を懸けたのが、財務省官僚機構トップの矢野康治事務次官だ。文藝春秋誌上で「このままでは国家財政は破綻する」と題した寄稿文が世間をにぎわせている。

 「1166兆円の借金からは逃げられない。人気取りバラマキが続けばこの国は滅ぶ」という副題で、要は年間国家予算の10倍もの国と地方の借金(国債と地方債)を減らすために財政規律(プライマリーバランス)を立てよ、と言う提言。上司の麻生財相(当時)も了承しての発表だそうだ。

 私はズバリ「官僚にだまされてはいけない」と言いたい。細かな数字は省くが、一般家庭に例えると多額のローンを抱えていても、担保となる土地や建物があり、最終的に相殺できれば怖がる必要はないのと同じ。日本国には借金に見合う資産が十分ある。さらに借用書がアウトローな政権取り立て屋の手に渡らない仕組みと同様に、日本国債は大半が国内で買われているから外圧による急激な金利上昇に苦しむ心配もない。

経済安保って重要なの?

 日本経済復興のカギは輸出。相手国は中国が20%と最大で、香港も5%を占める。米国は18・4%だから、日本が一番気にしなければならない貿易相手は中国だ。

 この中国、軍事行動は偶発リスクも大きいので相手の弱みを突いて経済で締め上げるのが得意中の得意。台湾と緊張関係になると突然パイナップルなどの農作物輸入を差し止め。豪州とコロナ起源を巡り対立が起こると石炭の買い付け差し止めを瞬時に平気で国が決め実行する。日本もかつて中国が希少金属の輸出を差し止め、半導体メーカーなどが大打撃を受けた時期があった。

 そこで岸田政権で登場の新設大臣が小林鷹之・経済安全保障担当相(46)。東大法学部から財務官僚を経て、当選3回でもう大臣の切れ者。武力ではない経済外圧から国民の生命財産を守るのが役目。具体的には中国を念頭に置き、供給連鎖管理(サプライチェーン)を常に確保するために働く。

 身近な例ではコロナ初期の昨年前半、中国に生産依存していたマスク、防護服の日本国内での奪い合いは記憶に新しい。原油備蓄は90日分しかないから、仮に南シナ海の輸送ルートを中国に断たれたらたちまち干上がる。また半導体などのサプライチェーンが多国間で複雑なため、その把握も欠かせない。逆に輸出に関しては、先端技術を非同盟国で軍事転用されないような監視体制、農産物の安定輸出も含まれる。

 日本が中国に強く出られない原因の一つが、輸出入や生産拠点としての中国の魅力に対し日本財界の忖度(そんたく)が大きく、政府決定の足をたびたび引っ張ることだ。

 専守防衛が国是の日本は中国のように武力との両面で他国に圧力を掛けることはできない。だからこそ国家安全保障の一つとして、経済問題も切り離さずに考えていかなければ国民の平穏な生活は守れない。

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