週刊大阪日日新聞

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2021/8/7

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

コロナに打つ手無し!

「まもなく大阪も、1日2500人規模に!?」


▲赤色に染まった通天閣。大阪府の広報担当副知事でマスコットキャラクターの「もずやん」も泣き顔に=浪速区

 大阪が4度目の緊急事態「宣言」に入った。5月8日以来の1日感染者数1000人超えを先週末の7月31日に記録。最初は「東京だけ?」と思われていた新型コロナ感染爆発の兆候が、大阪を含めた全国に広がり1日の陽性者数は連日1万人を突破。このまま増え続ければ、「大阪も1日2500人規模に」という話もあるし、次の8日の日曜で東京五輪が最終日を迎えるが、その時点の数値が今から恐ろしい。

 元凶は英国株から置き換わった新たな変異株のインド株。緊急事態「宣言」やまん延防止重点「措置」でも人の流れが抑えられない今、頼みは速やかなワクチン接種だけだが相変わらずの供給不足。打つ手無き「宣言」は今月一杯続く予定だが、果たしてどうなるのか?

政府のごまかしもう限界 自衛するしかない府民

変わらぬ大阪の暮らし

 キタやミナミの繁華街。歩く人々に緊張感は薄く、人出はほぼ3〜4月並みに戻っている。常に先手を打ってきた吉村知事だが、持論の「重症もしくは中軽症のベッドが半分埋まってから」といっていた「宣言」移行を国に主導され、「住民の理解できる宣言#ュ令基準を数値で示すべき」と不満をあらわにしている。 「宣言」でも大阪ではほとんど市民生活に変わりはない。USJなどの娯楽施設や間もなく再開するプロ野球、Jリーグも有観客を維持し、せいぜい終了時間を繰り上げるのみ。百貨店やショッピングセンターなどの商業施設も営業終了繰り上げのみ。唯一飲食店での酒類販売が自粛される程度だ。

 大阪のコロナ死は「宣言」中の5月をピークに減少傾向にあり、6月21日から「措置」へと移行。しかし感染者数比較でよく使われる前週比≠ェずっと横ばいで、最近は明らかに上昇カーブを描いていた。知事は以前に英国株への置き換わりで感染爆発を経験する痛い目に遭っているため、今回のインド株置き換わりを強く警戒していたが、7月末で前月比4倍全体の4分の1に。東京ほどではないにせよ、着実な拡大を見せており、今回の「宣言」を前に知事は「再び医療ひっ迫の危険性」に言及して府民に自覚を促している。

 現在の感染者状況は、半分以上が20〜30代。これまで2〜3割を占めていた60歳以上は1割弱に減り、ワクチン効果は確実に出ている。その接種は、府内の65歳以上(238万人)のうち1回が8割を超え、2回終了も6割台後半と順調に進んでいるが、全年齢対象者(885万人)を見ると、1回3割ちょっと、2回終了2割と、国のワクチン供給停滞のあおりをもろに受けて停滞している。

 大阪はゴールデンウイーク時期の苦い経験がある。当時「入院・療養調整中」という名目で十分な治療が受けられないコロナ患者が3000人も府内にあふれた。現在は統計上の重症病床587で7月に一挙に100床も増やしたが、コロナ患者のために常時空けているのは実は320床のみ。残りは普段は一般病床として使われている。つまり、7月末の使用率約3割は、実際には6割近いとカウントした方がよい。現に「入院・療養調節中」はすでに300人程度いると見られる。

 大阪の「宣言」と同時に京都・兵庫も「措置」入りしたが、いずれも4〜5月の第4波当時と同程度まで上昇しており、京阪神の活発な行き来を考えると予断を許さない。

手詰まりな菅政権

 政府はすでに出していた東京と沖縄の「宣言」を、当初の予定から10日間延ばして今月末とし、首都圏3県や大阪などへの新たな「宣言」も同じ月末までとした。夏休みで学校生活にはほとんど影響ないが、全国の感染者が第3波ピークの今年1月8日の8045人、同第4波ピークの5月8日7239人に比べ、今回の第5波はすでに1万人を突破。まだピークすら見えないのだからもう打つ手はない。専門家は「11月ぐらいまで第5波は続き、ゆっくりと下降に向かう」と厳しい予測をするが、これでは菅政権自体がとても持たない。

 というのは、9月5日にパラリンピックが終われば、その月末には菅総理の自民党総裁任期が満了、10月21日には衆院議員の任期が満了するからだ。政治日程は総裁任期を凍結しての「9月解散、10月総選挙」しか実質的に残されていない。「五輪のニッポン金メダルラッシュ」に国民がコロナを忘れて熱狂し、ワクチンの集中接種の再開で感染数を抑え込まないと、今や最低レベルとなった支持率を回復できないから、このままでは選挙に勝てない。

 東京五輪は世論の反対を無視して開催され、総理の願い通り金メダルラッシュになったが、その裏では日本中に感染が拡大。五輪開会式に来日した米ファイザー社・ブーラCEOに、菅総理自ら赤坂迎賓館で朝食を振る舞い、「ワクチンください」と直接交渉したがどうやら空振り。これまで「まれに血栓が出る」と使用承認後も接種実施を棚上げしていたアストラゼネカ社のワクチンを「背に腹は変えられない」と、40代以上の接種に使う方向へかじを切った。

 ワクチン供給が改善され急速に接種が普及しない限り、人の流れを押しとどめるしかないが、日本の法律では全て「お願い」と「自粛」のみ。共産圏や欧米のような強制的なロックダウンはけっして許されない。

 官僚出身の西村コロナ担当相が、酒類販売自粛に応じない飲食店に金融機関を巻き込んでプレッシャーを掛けようとし、世間から大ブーイングされ断念。飲食店側は勢い込んで、今や東京でも大阪でも要請を無視して営業する店が目立ってきた。田村厚労相は「東京はすでに緊事態宣言中なのに、この感染状況(の広がり)をどうすべきか?」と戸惑いを隠さない。

 政府や東京都は「重症化しやすい65歳以上の感染者がワクチン接種で3%程度まで抑えられている。危険な高齢重症者は増えていない」と必死に、感染拡大を矮小化し隠すしか国民へアピールできなくなっている。

基本に戻って自衛

 われわれは一人一人が自衛するしかない。インド株の感染初期特徴は、ほとんど無症状で「何となく熱っぽい」程度しか自覚症状がない。しかし感染力は英国株の数倍といわれる。大阪・梅田の大手百貨店で従業員の大量クラスターが起こり臨時休業する騒ぎになったが、対面接客業だけに感染防止対策にずっと地道な努力を続けてきた自負があった。業界では「そんなに感染力が強いのか?」と改めて衝撃が走っている。

 防御性の高い不繊布マスクを隙間なく鼻までしっかりと着用。換気の悪い「密閉」、大勢集まる「密集」、間近で会話する「密接」のいわゆる三密≠徹底して避けることが肝要だ。呼吸器系ウイルスは、何より空気感染に要注意≠ニ常に意識した方がいい。

 お手上げ状態で不人気の菅政権だが、実はできることはまだある。これまで「GOTOトラベル」や「GOTOイート」で散々税金を使って外出や外食を促してきたのだから、その逆を行けばいいのだ。つまり国民が家にとどまることで提供する報奨金やポイントを新設するのはどうか? スマホの位置情報機能を使うアプリを利用すれば、それほど難しくないはずだ。

 ウソやごまかしで先送りして逃げ腰になるのではなく「国は本気でコロナ退治しようとしている」という、国民への強いメッセージと菅総理のリーダーシップを、正直な言葉で今こそ明確に発信してほしい。

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