週刊大阪日日新聞

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2021/5/15

森友問題 問われる国の姿勢

「赤木ファイル」存在確認に1年以上 

 森友学園への国有地売却に関する決裁文書の改ざんを強いられ、財務省近畿財務局の元職員赤木俊夫さん=当時(54)=が2018年に自殺に追い込まれたとして、妻雅子さん(50)が国側に損害賠償を求めた訴訟で、国側は5月6日、赤木さんが改ざんの過程をまとめた文書「赤木ファイル」が存在していると初めて認める意見書を雅子さん側に出した。6月23日の大阪地裁での第4回口頭弁論で提出する予定。


▲森友事件が発覚した2017年2月のメモ帳は深夜残業が続き、26日には改ざんのための呼び出しの記帳が

 国側が存在を認めたのは、改ざんが時系列にまとめられた文書や、財務省理財局と近畿財務局との間で送受信されたメールやその添付資料など。雅子さん側は20年3月に提訴した際、ファイルの証拠提出を求めており、存在の確認に1年以上も要した国の姿勢が問われる。今後、どの範囲が開示されるかが焦点となる。

 国側は意見書で、ファイルは赤木さんが個人的に作成したもので、職務上の行政文書ではないと説明。黒塗りなどのマスキングをするが、その範囲は「裁判所の訴訟指揮に真摯(しんし)に対応するという観点から、できる限り狭いものとする」とした。

 マスキングの理由は第三者の個人情報が含まれており、森友問題が引き続き報道されるとして「改ざんに関与したと認定されていない職員らに取材が殺到し、私生活の平穏が脅かされる恐れがある」ためだと主張した。

 雅子さんは6日、喜びを語る一方で「マスキングなしで全てを明らかにしてほしい」と訴えた。

 ファイルを巡っては地裁が今月6日までに存否を回答するよう提案していた。財務省幹部は「原告の求めが抽象的だった。文書の特定に時間がかかった」と釈明した。

 訴訟で国側は当初は「存否を答える必要はない」とし、時間がかかる理由に@対象の文書量が著しく膨大A新型コロナウイルス禍で業務態勢を縮小─を挙げ、今年3月の訴訟手続きでも「探索中」としていた。国会では麻生太郎財務相が「訴訟外で答えるのは差し控える」と答弁していた。

 財務省が18年6月に公表した調査報告書によると、理財局長だった佐川宣寿元国税庁長官(63)が改ざんの方向性を決定づけ、理財局幹部らが安倍昭恵前首相夫人の記述を削除するなどした。


「真実知りたい」 闘い続ける妻・雅子さん

 最愛の夫は、なぜ死ななければならなかったのか。赤木俊夫さんが残した「赤木ファイル」は、自身が強いられた決裁文書の改ざん行為を克明につづった記録とみられる。真実を知りたい。妻雅子さんはそう願い、国と闘い続けている。

 死の原因や改ざんの真相を明らかにしたい。昨年3月、提訴に踏み切った。「何をさせられたのか。知りたい」。昨年7月の第1回口頭弁論で「夫は犯罪を行ったと受け止め、国民に死んでおわびすることにしたんだと思う」と訴えた。


▲赤木俊夫さんの遺影(妻提供)

 上司だった池田靖氏が「赤木ファイル」の存在を証言したのを支えに提出を求めてきた。国は回答を拒否。昨年10月の第2回弁論では「真実を知りたいとお願いしているのに、そんなこと知らなくていいと言われたようだ」と指摘したが、国の姿勢は変わらなかった。

 今年3月7日の命日には夫の故郷の岡山県を墓参に訪れ、提訴から1年の18日に臨んだ記者会見では「夫の悔いを晴らせるよう頑張る」と誓った。その4日後、裁判所がファイルの存否を明らかにするよう国に提案し、事態が好転した。

 赤木さんは生前、雅子さんから「やってしまったことを(ファイルに)細かく書いて残したことは良かったの?」と尋ねられ「良いことだった」と答えた。「夫がちゃんと書いて残してくれている」。今後はファイルの内容がどの程度開示されるかが焦点となる。真実の一部が含まれていると雅子さんは信じている。

「一歩進んだ」 雅子さん 黒塗り示唆に注文も

 「ファイルがあると分かっただけでもよかった。一歩進んだ」。財務省の決裁文書改ざんを巡る訴訟で国が6日に提出した意見書に、元近畿財務局職員の赤木俊夫さん=当時(54)=が改ざんの経緯を示したとされる「赤木ファイル」が存在すると明示されていたことを受け、妻雅子さん(50)は同日、高揚した様子で記者団に喜びを語った。

 午後5時ごろ、大阪市内にある代理人弁護士の事務所に国側の回答文書 のファクス数枚が届いた。雅子さんは代理人とともに一文ずつ指で追いながら、神妙な面持ちで読み込んだ。開示する際には黒塗りなどのマスキング処理が必要とのくだりもあったが、「一切のマスキングをなしにして、全て明らかにしてほしい」と注文を付けた。

 代理人の生越照幸弁護士は「かなり踏み込んだ回答だ。具体的にどういう過程で改ざんがあったのかは今後明らかになるのではないか」と期待した。

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