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2021/4/24

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

福島第一原発 処理水の海洋放出 ホントに大丈夫?

福島第一の処理水放出/柏崎刈羽の運転禁止
八方ふさがりの東電原発


▲東京電力福島第1原発の敷地内に林立する、汚染水を浄化した後の処理水などを保管するタンク。奥左から1、2、3、4号機=1月

 政府が福島第1原発の処理水について海洋放出を決定した。大阪に住む我々にとっては遠い場所の話しのようだが、吉村洋文府知事は「政府から処理水放出の協力要請があれば検討したい。福島だけの問題ではない」と発言。まんざら他人事ではない原発のあり方を地元の関西電力も絡め考えてみたい。

 まず福島第1原発事故をおさらいしよう。6基の原子炉のうち1・2・3号機で炉心が溶けて核燃料がむき出し(メルトダウン)になり、1・3・4号機は水素爆発で原子炉建屋が吹っ飛んだ。人類史上最悪の原発事故で、1〜3号機は溶け落ちた燃料(デブリ)が強い放射線と崩壊熱を出し続け、現在も人の手による作業は出来ず、壊れた炉に放水して冷やし続けている状態だ。 今回、この汚染水から一定の放射性物質を取り除いた処理水が海洋放出される。

 菅首相は「政府が先頭に立って安全性を確保し、風評払しょくにあらゆる対策を行う」と強調するが、学術会議の時のように首相の独断専行が目立ち、漁連をはじめとする地元福島の住民は強く反発。中国や韓国、台湾などの周辺国の非難も相次いだ。

「処理水安全」はホント?

 気になるのは海洋放出される「処理水」が、本当に安全なのかどうかだ。政府は「通常の原発冷却水と同じ。取り除き切れないトリチウムは人体に影響ないレベル」と主張するが、私が調べたところ、とても同じとは思えない。

 通常の冷却水は燃料棒の中身に直接ふれないが、処理水はむき出しのデブリにふれている。汚染水から放射性物質の大部分を取り除く多核種除去設備「ALPS」が開発されたとはいえ、原子力規制委員会で試運転を示す「確認運転」の域を今も脱していない。トリチウム以外の放射性物質の一部は「環境基準内のごく微量」というだけで、完全に除去されるわけではない。海に流せば魚介類に蓄積される危険性は完全に排除できず、海流に乗って放射性物質自体が拡散してしまうので正確な数値が把握できない。再回収不可能だから「ALPS」の厳格な運用管理が24時間体制で絶対必要だ。

 麻生財相は「飲んでも問題ない」と軽口をたたいたが、中国外務省報道官から「飲める物なら飲んでみろ」とからかわれる始末。韓国の市場では早くも「日本産魚介類は取り扱いません」の張り紙も出され、地元福島が心配していた風評被害が現れはじめた。

モラル低い東電の行方

 今年は震災10年の節目。さまざまなメディアで特集が組まれ、廃炉処理の遅れや経費の増大が指摘された。東電は10年前に「最長40年で廃炉を完了する」と約束したが、溶け落ちた燃料デブリを撤去するどころか、その実態すら分かっていない。タイムテーブルはどんどん後ろにずれ込んでいるのに、最終完了時期だけは不思議と動かない。これが安倍首相の言う「アンダーコントロール」の実態だ。

 これまでに掛かった費用は13兆3千億円超だが、政府見込み処理額は総額21兆5千億円。民間シンクタンクでは「最大80兆円」の試算もあり、誰も正確に答えられず伏魔殿化している。

 東電が残る30年で廃炉を完了させるには、毎年3千〜4千億円の負担金が必要になる。到底工面できない金額を東電に背負わせながら、国が実質国営化してまで存続させたいのは、同社に廃炉と賠償を完遂させるため。しかし、すでにこの会社幹部にそこまでの責任感と継続力を求めるのは極めて困難だ。

 震災前に戻って検証してみよう。津波の大きな被害を受けた青森から茨城までの太平洋側には5カ所の原発があった。しかし、事故を起こしたのは福島第1だけ。東北電力の女川原発(宮城)は福島第1より震源地に近く、ほぼ同規模の津波に襲われたが無事。それどころか震災後数カ月に渡って避難所として地元被災者を受け入れた。

 東京電力は自社の送電範囲である関東圏以外の原発立地が多く、福島第1、第2は福島県、柏崎刈羽は新潟県と、いずれも東北電力のエリア。共に問題山積みで安全や情報開示を今も軽視し続けている。

再建生命線の柏崎刈羽

 福島第1での廃炉・賠償を進めるのに欠かせないのが柏崎刈羽の再稼働だ。年間1千億円規模のコストを削減してくれる柏崎刈羽でしっかりと発電しないと経営改善は図れない。ところが、社員が他人のIDを使い中央制御室まで到達し、4日後には安全対策工事の不備が発覚。「テロ対策を含めた核物質防護体制がなっていない」と商業炉初の運転停止に追い込まれた。経産省は「電気事業者がエリを正すべき時に、東電が足を引っ張る」とご立腹だ。

 小早川智明・同社長は参考人として呼ばれた新潟県議会で「福島の教訓を生かせていなかった。おごりや過信がなかったか? 原子力事業を存続できるのか? の大きな危機感を抱いている」と陳謝。実際は、原発事故以来、社員のやる気がずっと低迷している点も見逃せない。

原発リーダーだった関電

 1970年の大阪万博に電力会社として初めて原発から送電を行った関電は「原発のトップランナー」として君臨し、2002年には発電量の65%まで比率を高めた。

 原発事業は電力各社で聖域扱いを受け、制御不能なまでに肥大化。電力会社の一部署でありながら別会社のような組織になっていた。その典型が昨春発覚した福井・高浜町の元助役と、同県美浜町にある関西電力原子力事業本部関係者とのズブズブの金品授受問題だ。調査に当たった第三者委員会は「病根は事業本部で、まるで独立王国」と表現し、同本部の閉鎖性と隠ぺい体質、地元との癒着構造を明らかにした。

 東電や関電の原子力部門は、自分たちの組織だけで壁を作り、回りの意見を聴かず人事交流を拒み独善に陥る組織失敗例の典型だ。

原発復活の胎動どうする?

 福島第1の事故以来、逆風にさらされた原発業界。すでに国内原発60基のうち24基の廃炉が決定し、事故後は維持費も年間1兆円規模に膨らんだ。いったん事故が起きれば気の遠くなる時間と費用がかかり、全く安全でないことが世に知れ渡った。世界でも原発はすでに時代遅れとされ、443基で半数近い192基の廃炉が決定している。しかし実際の終了は17基と、道のりは決して簡単ではない。

 このような世界の潮流に反し、日本では原発が息を吹き返しつつある。きっかけは菅首相が掲げた「2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロ」で、この脱炭素化を口実に、拡大へと与党が一気に動き始めた。自民党原発議連は、エネルギー基本計画にある「原発依存の低減」の文言削除を裏で画策。経産省と族議員、電源立地有力者が仕組んで電力各社を巻き込んでの「原子力ムラ復活」を虎視眈々(たんたん)と狙っている。

 次世代に託すべき発電方法は、寿命40年と法令で定められている原発なのか、それとも水素や風力などの再生可能エネルギーか。後世の人々にバトンを渡す責任があるわれわれの責任は重大だ。

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