週刊大阪日日新聞

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2021/3/27

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

石油依存からの脱却 ビジネスの大転換に備えよ!!

政府の新年度予算 環境政策に舵切る菅政権

 4月からの新年度予算がまもなく成立する。コロナ対策で過去最高額になる点ばかりに注目が集まるが、ポイントは環境政策。これから日本、いや世界がどこへ向かおうとしているかを読み取れる重要な予算でもある。菅政権の誕生で日本の環境政策は一段と強化され、さらに米バイデン政権への交代で、温暖化対策を否定していたトランプ氏の方針を大転換。日米共に「エコはお金になる」時代へ大きくかじを切った。

 「そもそもCO2悪玉論自体が間違っている」とかの意見もあるが、正しい、正しくないの議論でこの流れを止められるわけもなく、これから大転換を迫られるビジネスも出てくるだろう。ならば、この潮流の中で、自分たちが「どう生き残っていくか」を考える方が合理的だ。そのためにも、まずは環境政策の全体像を把握してみよう。

脱炭素社会でビジネスは激変する

菅とバイデン、ピッタリ一致

 菅総理は昨年10月、初の所信表明演説で、アベノミクスに代わる成長戦略の柱を「経済と環境の好循環」に位置づけた。「2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロに」を目標として掲げたのだ。

 一方で、米国のバイデン政権も、温暖化対策に否定的だったトランプ前大統領の方針を180度転換。バイデン氏がオバマ政権の副大統領だったときに努力した「全世界の温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロにする」という大目標を再び掲げ直した。

 4月には米国で気候変動サミットが開かれ、ケリー元国務長官を担当大統領特使に任命する力の入れよう。30年に向け米国主導の高い削減目標が示される予定でトランプ時代との違いがより鮮明になるはずだ。

21世紀は環境の時代

 自由主義が発展した20世紀は、石炭や石油などの化石燃料を大量消費し、加工品を大量生産することで生活が便利になった。しかし、21世紀に入って急激な地球温暖化が進行。気候変動で災害が相次ぎ、洪水と干ばつの両極端が各地を襲う。食糧危機や飲料水不足など環境を取り巻く状況が悪化の一途をたどっている。

 国連は15年に「持続可能な開発目標」として17の項目を採択。通称SDGsと呼ばれ、30年末までの15年間で目標達成を目指している。この中で環境問題に関わる項目はFエネルギーをみんなに、そしてクリーンにL気候変動に具体的な対策をM海の豊かさを守ろうN陸の豊かさも守ろう、と直接的に訴えている。

最重点は「脱炭素社会」

 環境省は令和3年度の重点施策に脱炭素社会∞循環型経済∞分散型社会≠フ3つを経済社会の再設計に掲げ、「これらの実現が経済社会の競争力の源泉であり、地球環境リスクを抑えることにもつながる」と高らかに唱い上げている。

 では具体的に見ていこう。まず一丁目一番地の脱炭素社会≠ヘ、従来の火力発電を太陽光や風力などの自然エネルギーに転換し、ガソリン車をやめて電気自動車を普及させたり、シェアリング(共有)やテレワークなどで省エネの社会を創るなどして実現する。具体的には表の通りだが、大目的は石油依存社会からの脱却だ。

レジ袋、割り箸削減とは?

 2つ目の循環型社会≠ヘズバリ、リサイクル促進や簡単に自然に返らないプラスチックの代替を指す。海洋に流れ込むプラスチック製の袋や細かい破片は、地球規模で年間800万tと言われ、東京ドーム7杯分相当。魚類などが食べて生態系が乱れるだけでなく、その魚を人が食べることで健康被害にもつながる。普段目に見えない部分だけに、対策は厄介だ。プラスチック製のレジ袋やフォーク、スプーン類の削減は総量としてはわずかだが、人々に削減を促すアピール効果は大きい。

 3つ目の分散型社会≠ヘ、コロナ禍で急速に発達したワーケーション(観光地やリゾート地でテレワークを活用し、働きながら休暇を取る過ごし方)やリモートによるテレワークを指す。満員電車のストレスや移動時間から開放され自由度が増すと共に環境へ負荷も減らせる。

 大気浄化に欠かせない森林資源は気候変動などによる干ばつや山火事の増加に加え、木材として利用されて年間520万へクタール(日本の面積の約15%に相当)が失われている。林野庁の国際緑化推進センターでは途上国を対象に森林伐採改善の調査と指導を進めているが、資源に乏しい国では一朝一夕には進まない。割り箸削減の取り組みは、身近なアピールと言える。

地球産業となる環境ビジネス

 かつて環境という名を冠した商売は、強引な廃棄物処理だったり、思想的宗教的にも偏ったイメージすら付きまとっていた時期があった。企業側も「揚げ足取りする面倒臭い存在」という受け止め方だった。しかし今では環境ビジネスは、環境負荷が少ない製品・サービスや技術を提供する大切な存在。公害防止やリサイクル、低公害車、緑化など社会に大きく貢献している産業ジャンルになっている。

 さらに「脱炭素マネー」と呼ばれ、温室効果ガスの排出ゼロに向けた投資資金は世界で3000兆円規模に拡大。「ESG投資」と銘打ち、脱炭素化に消極的な企業は投資家から敬遠され資金調達にも支障が出る事態も起こっている。

 仲の悪い米中両国も地球温暖化対策では一致点が多く、交渉の窓口は大きく開かれている。正に「環境対策は地球を救う」といっても過言ではない。

脱炭素の具体的な取り組み
エネルギー 石炭や石油、天然ガスを燃やして発電するのではなく、太陽光・風・波・地熱など自然の力を再利用する「再生エネルギー」を活用する
運 輸 関西万博に向けて大阪メトロが取り組んでいる自動運転化や顔認証など。グリーンスローモビリティー(時速20キロ以下で公道を走る4人乗り以上の電動自動車。地域が抱えるさまざまな交通課題の解決や低炭素型交通の確立に役立つ)の導入。環境省も電気自動車・燃料電池車(水素)の導入支援とモニター協力で補助金を出して推進
産 業 石油依存社会からの脱却を目指し、触媒技術などを使って排出される二酸化炭素をメタンなどに合成し再利用する
民 生 モノがインターネットに接続するIotを用い、シェアリング(共有)やテレワークなどで社会システムを変えたスマートコミュニティー(住宅、施設、交通網、公共サービスなどを情報ネットワークで結び、消費エネルギー最適化や、公共交通システムや公共サービスなどの社会的なインフラやシステムを統合管理・制御する)を目指す。
農 水 産 バイオ技術の活用

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