週刊大阪日日新聞

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2021/3/13

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

株高3万円の正体 

GDP、個人消費マイナス下で、何が起きているのか?

 日経(日本経済新聞が選んだ東証1部上場225銘柄)平均株価が、2月15日に30年6カ月ぶりに3万円を突破。あれから間もなく1カ月が経とうとしている。同月26日にはマイナス1200円の大幅下落があり、「わっ暴落か?」と慌てた人も多かったが、今は何とか高値で安定している。

 こうした状況に読者が知りたいことは、「経済が冷え込んでいるのに、なぜ株高なのか」という疑問ではないだろうか。加えて、読者自身も株式投資に関心を高めているのではないだろうか。

 今号は株高をテーマに2部構成で書き分け、第1部で「株高の正体は何か?」、第2部で「日本株暴落の見極め方」についてまとめた。株の知識がない人にも極力わかりやすく、その背景と見方を伝授してみようと思うので、お付き合いください。

第1部 全世界が資金でジャブジャブ

社員の賃金に反映なし。 もうかるのは企業と株主だけ
法人優遇・個人いじめ

 高値の背景は、コロナから経済を立て直すため全世界が積極的に財政出動したお金。IMF(国際通貨基金)によると、その総額は昨年末時点で約1445兆円にまで達し、市場はまさに資金でジャブジャブ。そのお金が行き場を失い、株式や金、原油先物、仮想通貨などに流れ込んで全ての相場を急上昇させた。

 しかし、この株価はいつまでも続かない。コロナが一段落すれば、自然と自由経済が活発になるから、原油や鋼材などの産業素材が値上がりしてインフレに振れ、株価は正常に戻ろうとするからだ。

 注意しておきたいのは、今は一般庶民が株式投資に参入できるような状況ではないということ。不況下株高≠ヘプロだけが損得の世界だからだ。

 その理由は日本の政経システムを見れば分かる。税金は取りやすいところから取る¢フ質の財務省は、徹底的に消費税増税に頼っている。コロナ禍で野党が消費税引き下げ≠要求してもかたくなに応じず、雇用調整助成金や休業手当助成をばらまいて矛先をかわした。その助成金も年度末の今月一杯でほとんどが終了。これから同省は個人への課税強化を含む増税と年金引き下げでバラマキ分の回収に向かう。

 中身は一貫して法人優遇・個人いじめ。一時話題になった「老後2千万円問題」は、その下準備としてNISA(投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)をエサに、自己責任による個人投資を呼びかけているにすぎない。

 連携してバラマキを仕組み、インフレをあおったのが日銀。30年前のバブル期のような好況時の株高≠ヘ正常だが、今の株高の経済実態はどうか。日本のGDP(経済成長率)は対前年比でマイナス4・8%。特に個人消費はマイナス5・9%だ。消費者物価指数は6カ月連続で下落しており、個人消費が一向に伸びないデフレ状態。こんな中で、仮にインフレに振れれば国民にとって最悪だ。

 菅首相は「株価と実体経済のかい離」を野党に追及され、「(株高によって)年金運用で還元されるから、国民に広く恩恵がある」と胸を張っていたが、大ウソだ。株高でもうかるのは企業と株主だけで、社員の賃金にまったく反映されていない。日本の年金制度は現役世代の実質賃金が減ればスライドして減額されるから、高齢者も損をする。ビートたけしさんが近著『コロナとバカ』(小学館新書)で昨今の株高と企業の内部留保に触れ、「いいかげんにしろ」と怒っていたがその通りだ。

『官』が支える日本株

 さて、日本の株式市場のシステムを考えてみよう。株価が実体経済を反映していないのは今に始まったことではない。自民党が政権奪回した時「経済さえ良ければ選挙は勝てる」と踏み、日銀と厚労省所管「積立金管理運用独立行政法人」(通称GPIF)に上場投資信託を大量に購入させ、株価を引き上げる官製相場を仕掛けた。実はこれがアベノミクスの正体だったのだ。確かに今はもうかってはいるが、立場上簡単に売り逃げできないから大損する危険性もある。

 現在のような株高騰の時は、ユニクロを運営するファーストリテイリングやソフトバンクなどの高値を付けている株ほど所有者利益が大きい。買い付けたくてもケタが大き過ぎ、一般人は手が出せないから上場企業のオーナーや創業者はどんどんもうかる。ただし簡単に売り抜けできない立場なので、足腰の軽い内外の投資家の方が食い逃げできる。

 では日本に個人投資家はどれくらいいるのか?

 全人口の約1割で平均4銘柄665万円を所持。約半数が60歳以上で大半は年金生活者や主婦など比較的時間に余裕のある層がコツコツと運用している。40歳以下は投資家の約2割。テレビに派手に登場するヤングセレブはほんの一握りの夢世界だ。

米国のくしゃみで…

 リーマンショックなどで米国での暴落の大波を経験した人はそちらも気になるはず。カギを握るのは我が国の日銀に当たるFRB(米連邦準備理事会)の動向だ。

 2013年に「バーナンキ・ショック」と言って、引き締めによる金融混乱を起こしてしまった経験から、FRBはワクチン接種と治療薬開発が進んでも簡単には金融・財政政策で急ブレーキは掛けられない。しかし10年物米国国債、いわゆる長期金利はジリジリと上昇。これはインフレの予兆とみられ、株価下落の引き金になりかねない。


第2部 日本株暴落の見極め方

想定される3つの危険要因
@来週の日銀金融政策会合

 3月18、19日の日銀金融政策会合で、バラマキ主犯の黒田東彦総裁が金融緩和策について不用意に軌道修正を臭わせるとまずい。市場はそれくらい神経質だ。

A米バイデン政権の中東政策バランス

 トランプ政権があまりにも「親サウジ・イラン敵視」だったため、バイデン政権は少しずつ軌道修正を図るが、イスラエルの厳しい反発もあって一気に米国内で政策反動を呼ぶと玉突きで日本株にも影響が出かねない。

B財務省の勇み足

 国税の減少に伴って、株式の売却益に対する課税強化案が財務省内底流でうねっている。これが表面化すると海外投資家がいち早く逃げ出すので危険だ。

 具体的な暴落兆候をこっそり教えよう。 みんながビビッているから乱高下がやけに目立つのは当然だ。その中で、下がった後に乱高が起こると極めてヤバい。まともな投資家が手を出さない時期に、ギャンブル的に利益を取りにいっている勢力があると見るべき。ネット取引の特徴として売買が頻繁になるから皆が短期トレーダーになる。乱高下時に大ばくちを打ってくる連中は必ずいる。

 割安感のある普段さえない企業株が急に上がったりするのはひともうけをたくらむ連中の存在を疑った方がいい。

結論─。

 今、株を持っていない人は割高なこの時期に手を出してはいけない。ゆとりを持って資金をしばらく抱き、暴落したら「買い」へ。すでに株を持っている人は、普段は持っている事を忘れるくらいでちょうどいい。公共事業関連など優良株は長い目で見れば必ず上がる。株主優待を楽しみながらゆったりと。それこそが投機ではなく投資。ガツガツして必要不可欠なお金で株に手を出してはいけない。

 株式相場でコワいのは、1988年のバブル時期に解禁された先物取引。それに手持ちの資金を証拠金にして何倍もの株を売買できるFX(外国為替証拠金取引)的なものが組み合わさると素人では手に負えない。もうかる時は膨大だが、逆に通常の株取引ではありえない借金を一瞬で背負うことにも。

 『財テク』なんて聞こえはいいが、しょせん未来は誰にも分からない賭け事なのだ。

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