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2021/2/13

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

コロナワクチン徹底解説 みんなが知りたい「効果」「安全性」は?

 今月末から新型コロナの医療従事者向けワクチン接種がスタートするが、読者の関心事は「ワクチンは安全?」「効くの?」ではないだろうか。「打つ、打たない」を読者自身が判断できるように、コロナワクチンについて解説する。

 ようやく完成した新型コロナにかからない (正確に言うと、かかるが重症化しない) ワクチン。接種はリスクが高い順≠ナ、医療従事者(370万人)、65歳以上の高齢者(3600万人)、基礎疾患のある60〜64歳(820万人)、高齢者施設などの職員ら(200万人)が優先接種対象者になる。大阪府では今秋を優先者終了目標とし、その他一般(16歳〜59歳)の接種は「それ以降」に。

 日本には医療データベースがないので、基礎疾患はあくまで自己申告。アレルギー体質の人でも注射後15〜30分の待機時間があり、待機中にアナフィラキシーショックを発症しなければ以後はほぼ問題なし。副作用の患者一人をクローズアップする報道を見ていると、「危ないんじゃないか」と思ってしまうが、全体像から見ると、海外での副作用発生率は0・01%(1万人に1人)。他のワクチンと比べ特段高くはない。

 輸入で到着順に集荷するので、「○○社のワクチンが打ちたい」と言っても選べない。1回では効果が弱く、20〜30日後に2回目の接種がある。

「打つ?」「打たない?」 あくまで任意の自由意志

 日本でまもなく接種がはじまるワクチンの製造社は「米ファイザー」「米モデルナ」「英アストラゼネカ」。輸入量は2回接種で換算してそれぞれ7200万、2500万、6000万人分。1シーズン2630万人分のインフルエンザワクチンに比べるとかなり多めで量は心配はない。気になるのはワクチンの有効性や危険性。「打つ」「打たない」を含めて読者自身が判断できるように、ワクチンの情報をまとめてみた。

 日本で接種がはじまる3社のワクチンは、いずれも本物の新型コロナウイルスを使わず、遺伝子情報から合成されたもの。体に勘違いさせて抗体を作らせる。

 まず、「ファイザー」と「モデルナ」のワクチンの種類はm(メッセンジャー)RNAというタンパク質合成のニセウイルス。早く、安く、量産できるが世界初で前例がなく、分解分離しやすいので超低温冷凍での管理が必要。

 一方、「アストラゼネカ」のワクチンはウイルスベクターといわれる種類。風邪ワクチンを無害化して人工的に新型コロナの一部遺伝子を入れたもの。普通の冷蔵庫で管理でき、過去にエボラ出血熱など日本で需要の少ない病気に用いた実績がある。レシピ提供を受け、4500万人分の国内生産を神戸市で行うのも朗報だ。

 ワクチン開発は通常7〜10年かかるが、今回は遺伝子情報に基づくニセウイルスを使うから早く開発されても安全性が高い。10カ月で実用化できたのは体内に運ぶシステムが確立していたからで、効果が弱いため2回接種となる。

 変異株で効果が多少弱まったとしても、6分の1程度までなら効力が維持できる。一度感染して自然免疫抗体を獲得した人もワクチン接種でさらに効果が増すとされている。

 一方、国内製造の状況は、大阪大学とアンジェスの共同開発が最も先行していて年内に最終治験。塩野義製薬、熊本KMバイオロジス、第一三共、IDファーマ、武田薬品などが続いている。

日本ではじまる3社のコロナワクチン 第III相試験解析結果 概要

臨床試験は第1相から第3相の3段階でワクチンの安全性と有効性を確認する。最終段階(第3相)の解析結果を厚生労働省がまとめた内容

ファイザー社

11/18公表 最終解析結果

●治験参加者のうち、170例が発症段階で実施。2回目接種から7日経過して以降の発症の予防に95%の有効性。※発症者のうち162例がプラセボ(偽薬)群、8例がワクチン接種群(重症の感染例については9例がプラセボ群、1例がワクチン接種群)。
●有効性は年齢、性別、人種・民族間で一貫。65歳を超える成人では94%を超える有効性が認められた。
●重大な安全性の懸念は認められず、グレード3(重度)の有害事象で頻度が2%を超えるものは、疲労3.8%と頭痛2.0%のみ。

モデルナ社

11/9日公表 中間解析結果

●治験参加者のうち、95例が発症段階で実施。治験中のワクチンにより新型コロナ感染症の発症予防に94.5%の有効性を示した。※発症者のうち、90例がプラセボ(偽薬)群、5例がワクチン接種群。
●重大な安全性の懸念は認められず、グレード3(重度)以上の主な有害事象は、2回目接種後の倦怠感(9.7%)、筋肉痛(8.9%)、関節痛(5.2%)、頭痛(4.5%)、痛み(4.1%)であった。

アストラゼネカ社

11/23公表 中間解析結果

●治験参加者のうち、131人の新型コロナウイルス感染症の発症者が生じた段階で中間解析を実施。
●まず半分の量を投与し、少なくとも1カ月の間隔をおいて全量投与した場合では90%の有効性を示した。
●少なくとも1カ月の間隔をおいて全量を2回投与した場合では62%の有効性を示した。
●2種類の投与方式を合わせた解析では平均70%の有効性。いずれの結果も統計的に有意だとしている。

因果関係をどう見る?

 日本は65歳以上が約3割と、世界有数の高齢者国。通常でも月10万人程度の高齢者が何らかの原因で亡くなっている。その高齢者に前例のないワクチン集中接種をするのだから「打つか?

 打たないか?」の賛否は二分。一方、医療従事者へのアンケートでは約8割が「打つ」と答えている。

 日本のワクチン嫌いの原因は、過去と現在も続く薬害訴訟が主因。ジフテリア(1948年)、種痘(70年)、日本脳炎(2005年)、子宮頸がん(16年)などのワクチン訴訟で、裁判所が因果関係を認め、国や製薬会社に賠償を求めたケースは数多い。結果的に厚労省はワクチン集団接種を控え、インフルのように個人接種が中心に。

 今回の集団接種はあくまで任意の自由意志、しかも無料(「有料で早く打てます」はすべて詐欺)。海外の先行例を見ると、2回接種後のコロナ感染率は1万人に1人というデータがある。日本でのコロナ死は「男性95%、女性98%が60歳以上」という数字も。ただし、日本人のコロナワクチン治験データは15歳〜75歳しかない。人種差もあるので自己責任の判断になるが、私自身は「打たずにコロナ感染するリスク」よりも「打って副反応を起こすリスク」を選択しようと思っている。

人類歴史は疫病との戦い

 人類の歴史は、疫病との戦いだ。16世紀には欧州でペスト(黒死病)が総人口のを死滅させ、100年前のスペイン風邪(インフルエンザ)は全世界で1億人、日本も40万人が亡くなった。

 最初のワクチンはジェンナーの種痘で、病原体の一部を体内に入れ免疫を作らせる「生ワクチン」(BCGや三種混合など) だったが、次にウイルスを薬剤などで弱め、感染力をなくして使う「不活性ワクチン」(インフルエンザ、日本脳炎など)が登場。そして今回のコロナでは、RNAなどの遺伝子情報ワクチンが初めて実用化された。

ワクチンは国防の一環

 日本が契約した3社を含む計8種のワクチンがすでに60数カ国で接種中。ただし、途上国の多いアフリカはまだ実質ゼロ。ワクチンの本当の効果が現れるのは「集団免疫」(全体の6割程度が抗体を持った状態)を獲得してからだが、途上国でのワクチン接種が遅れるとコロナ感染が収まらず、経済的ダメージが長引く。

 EUと英国の間でワクチンの奪い合いも。日本も契約通り入ってくる補償はどこにもない。「ワクチンは国防」と言われ、中国ではヤミ業者やニセ物も出回っている。

 途上国を相手にワクチン外交≠推し進める大国も。中国は自国製ワクチンの低価格と扱いやすさをアピールして途上国への無償提供を進め、ライバル・インドも対抗。その裏には戦略的に途上国での医療データを手に入れ、ビッグデータ化して薬品開発に役立てる暗闘が隠されている。

 コロナがただの風邪≠ノなるには、入り口の予防ワクチンだけでなく、出口である感染後の治療薬が欠かせない。現在、最も効果があるのはトランプ前大統領が「治療に使った」と言われる抗体カクテルだ。コロナ患者から取り出した本物抗体の複製を作り投与、体内ウイルスを減少させる。1回25万円と高額で、一般化するまであと3〜5年必要。

 すでに医師の判断で用いられているエボラ出血熱用抗ウイルス剤「レムデシビル」やステロイド系間質性肺炎治療薬「デキサメタゾン」などが知られている。米では中和抗体を使った治療薬「バブラニビマブ」が間もなく完成しそう。長引く新型コロナとの戦いも、新たな局面に入りつつある。

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