週刊大阪日日新聞

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2021/1/16

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

自由主義国の衰退 

米国の終わりの始まり進む

 米国ワシントン特別市で来週20日(日本時間21日)にジョー・バイデン氏の大統領就任式が行われる。しかし、コロナ禍拡大で 「密」を避けるためと、不正選挙疑惑に関する抗議のデモ隊による連邦議事堂乱入という混乱ぶりに、テロ回避の意味合いもあってできるだけバーチャル化することが決定。 民主党政権誕生はバイデン氏が副大統領だったオバマ大統領以来4年ぶり。しかも上下院とも民主党多数でトリプル・ブルー=i3つの民主党シンボルカラー青)の滑り出しだったはずが、何とも後味の悪い船出となる。分断する米国の混迷を見定めるとともに、日本の取るべき道を探る。

 「まるで(発展途上国の)バナナ共和国のようで、がくぜんとしてい る」─。議会乱入についてトランプ大統領とその支持者を激しく非難する共和党のブッシュ元大統領。政権引き継ぎにギリギリまで応じずに選挙不正を叫び、集まったデモ隊をけしかけ「選挙を盗まれればこうなる」と訴えるトランプ氏に、同じ共和党内からも強い批判が起きている。

左右両派の憎悪が衝突

 「白人の一国主義」のトランプ氏に対し、「多様な人々による国際化」のバイデン氏。水と油の社会分断は1776年の独立戦争、1865年の南北戦争以来の第3の危機≠ニも言われ根深い。米国内では、東西海岸部ではITなど新進の富裕層が増加している一方、内陸部は保守的な農林業や鉱業など旧来型産業が軒並み不況に陥っている。全体として米は低成長、低インフレ、低金利。ゆっくりと米ドルの国際競争力が衰えている。

 昨秋の大統領選を確認しよう。バイデン氏8128万票(獲得選挙人306人)対トランプ氏7422万票(同232人)。得票数では52%対48%と大接戦。さらに互いの支持層の4割が「敗れても結果を受け入れない」とし、さらにその内の2割が「抗議運動が暴力化してもやむをえない」と分断の根深さがうかがえる。トランプ支持の極右「プラウドボーイズ」やバイデン支持の極左「アンティファ」がそれぞれ武装して集団で暗躍、拉致や暗殺、爆弾テロまでささやかれるに至り、今や米国内では自衛のために銃の売れ行きが急増。不穏な空気が全土を覆っている。

トランプ氏の本質は?

 トランプ氏の「終わり」は、米国分断の「始まり」でしかない。彼は近現代史上、民主主義国で最も「好きか、嫌いか」で人気が二極化した政治家と言える。絶対に他人や他国と協調しない政治姿勢で、都合の悪いことはすべて「フェイクニュース(うそだ!)」と一言で片付ける。ワシントンポスト紙によると、就任以来2万3千通のSNSなどによる虚偽と誤解を与える主張を繰り返した、とされる。

 ただ、主流メディアのこうした主張だけでは、トランプ氏がなぜ4年前を大きく上まわる得票をしたのかの説明はつかない。彼は徹底した新自由主義への反発で、不況に対し目に見える自国優先を実践し支持者を熱狂させた。人種や性の差別を認め、ヘイトを助長することでこれまで低所得白人が押し殺していた感情を呼び覚した。仕事を奪う移民の阻止、貿易収支を強引に是正する2つを強力に押し進め、株価を上昇し、失業率を改善した。

 トランプ氏の言動は単なる負け惜しみ≠ナはない。不正選挙を理由に「2024年選挙に出る」と言い続けることで、彼は支援資金を集められる。さらに自分の当落優先ですり寄ってくる共和党の上下院議員グループを操り、議会でバイデン政権に対し「フィリバスター(議事妨害)」を合法的に演じることができる。

 トランプ支持者は大手メディアを信じず、彼の言うことしか信じない。支持者らは不正選挙に関しての投稿に表示規制をかけるツイッターな ど主流のSNSから離れ、「言論の自由」をうたうSNS「パーラー」に活動拠点を移しており、すでにダウンロード数は1千万件に上っている。しかし、グーグル社はアプリをダウンロードできるプレイストアでのパーラーの表示を停止した。

 大統領選後のトランプ氏は、まず急速に離れた側近を次々くびにし、自派弁護士を「特別検察官」にし不正選挙捜査チームを立ち上げようと工作。さらに戒厳令で軍を出動させ、選挙結果を無効化する計画だったとも言われている。

バイデン氏はチームで対抗

 バイデン氏の政策1丁目1番地は、「人権」と「環境」でトランプ氏と正反対。人権で象徴的なのは、中国による香港民主派弾圧問題の解決。バイデン氏はもともと親中派なので自身の独自パイプで、拘束中の香港民主派リーダーを恩赦国外追放させ米国などで抱える妥協策を探る。環境問題ではまずパリ協定への復帰、次いでコロナ情報共有へWHO脱退撤回だ。

 外交は欧州EUとの関係改善が最優先。次いでイラク合意復帰など中東での立ち位置を回復。中国・北朝鮮の東アジア問題は韓国との関係改善で日本と組ませる。

 内政的には@コロナワクチン普及A緑化対策などインフラ整備B現金給付などの低所得者下支え。財源は大企業・富裕層増税と長期国債増発だ。

 バイデン政権を、党大統領候補指名を争ったハリス副大統領、ブティジェッジ運輸長官をはじめとするオール民主党チーム≠ェ支える。ハリス副大統領は初の女性起用で両親は黒人とインド人。ブティジェッジ長官は30代きっての政治家だが同性愛を公言。

 イエスマンばかり並べ、異論を述べれば即刻くびになったトランプ政権の閣僚とはがらり様変わりする。

 バイデン氏の弱点はまず健康問題。史上最高齢での就任の上に、犬の散歩で足を骨折するようではどうも頼りない。息子ハンター氏の脱税疑惑もくすぶる。暴露本によるハリス副大統領のスキャンダルも気になる。

かじ取り難しい日本

 日本政府は「バイデン政権で、昔のアメリカが戻ってくる」と簡単に喜ばない方がいい。バイデン氏は「アメリカは戻った。国内に引きこもるのではなく、世界をリードする準備は出来ている」と高らかにリーダーシップ回復を唱い上げてはいるが、現実には米英と日本を足した世界経済での比重は直近20年間で49・3%から34%にダウン。5年後には「30%を切る」との試算もある。すでに世界は米一極構造から多極化しているからだ。

 米の混乱・混迷・経済低下は、中国・習近平主席からすれば大歓迎だ。今回の議会乱入について中国報道官は「米国は、香港での民主派による議会乱入時は支持したよね」と皮肉って笑っている。

 日本は「これからも米国の核の傘の下にあって、中国にも貿易・投資したい」のが本音。そのためには落ち目≠フ米国をなめずにベストパートナーとして寄り添いながら、一方で手強い中ロともパイプをつなぎ世界に存在感を示していくという、難しいかじ取りが求められている。

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