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2020/11/28

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

菅政権の目玉政策 携帯料金ホントに安くなる?

携帯料金は自由競争か否か


▲キッザニア甲子園のauパビリオンで子どもたちがゲーム感覚で取り組むアンテナの設置立地のシミュレーション。携帯電話会社にとって、電波接続維持こそ最も経費がかかる。

 9月に発足した菅政権の目玉政策になっている「携帯電話料金の値下げ」。第4のキャリアとして参入した楽天も、月額2980円使い放題を300万人限定で1年間無料にするなど携帯料金をめぐる攻防が騒々しくなってきた。

 でも、官房長官時代の菅さんが散々「携帯料金は高い!」と力説して改正を主導した電気通信事業法だが、結果的に端末0円≠ェなくなり「返って高くなった気がする」と不満の声も大きい。アンケートでは「1回線平均月額7〜8千円支払っている」と答えたユーザーが多いから、結構な出費だ。

 総務省は「4割の引き下げ」を念頭に置いているようだが、その背景と将来見通しを考えてみよう。

民業に対して国がそこまで口出しすべきなのか?

 道路族や農林族など、特定の政策分野に強い影響力を持つ議員を族議員と言うが、菅首相はズバリ自民党総務族議員の親分。その菅首相が影響力を持つ総務省は、昔の郵政省と自治省とが合併して生まれた省。放送やインターネットの通信分野は、もともと郵政省の管轄で、現在は総務省が引き継いでいる。つまり、放送局や携帯電話会社にとって必要不可欠な公共電波の割り当て権を総務省が握っているということだ。

 だから携帯電話会社にとって、菅首相の機嫌を損ねるのはまずい。携帯電話が最もつながりやすい プラチナバンド≠ニ呼ぶ電波帯は現在、NTTドコモ、au、ソフトバンクの大手3社が独占しているが、菅首相の意向を無視すると、その電波帯の一部を新参の楽天に振り替えられかねないからだ。

 総務省の方針は、「携帯電話会社に値引き合戦をさせ、利用料を引き下げさせる」ことだが、競争の原理≠ェ働かない理由に「契約会社の乗り換えが難しいから」と分析している。@携帯番号やメールアドレスも引き継げるように。移る時の違約金や手数料も全廃A自分に合った料金プランを選べるウェブサイトの立ち上げB格安スマホ業者の回線レンタル料金の負担軽減と、SIMカード(スマホ内の個人データ収納チップ)の差し替えを不要とするための無店舗電子化。いずれも大手3社が受け入れざるを得ない環境作りを進めている。

 ただ、私に言わせると@はauが「UQモバイル」、ソフトバンクが「Y!モバイル」とグループ内に格安業者を抱えて、すでに住み分けを図っている。今後は格安社を持たないドコモがどう反撃に出るか? 新参の楽天モバイルへのえこひいきはないか?Aウェブサイトを立ち上げよりも生命保険業界の「保険の窓口」「保険見直し本舗」のような、全社の携帯を扱う店を登場させ、個々のライフサイクルで提案してくれる方が、よほど支払額が安くなるB手軽に便利に乗り換えられるようになるのは結構だが、携帯は「契約時点で終了」という商品ではない。日々の「つながりやすさやスピード、接続状態」という品質問題を忘れるべからず、と指摘したい。

 国は具体的な料金引き下げを命じることは民業圧迫になるから、外圧を掛けるしかない。しかし、そもそも民業に対して国がそこまで口出しすべきか? という議論は尽きない。

台風の目は楽天モバイル

 米倉涼子の派手なCMで知られる「楽天モバイル」。月額2980円と格安で、さらに300万人は1年間の無料期間付きを打ち出し、他社からの乗り換えに躍起だ。しかし、大手3社からの乗り換え需要は思ったほど進んでいない。

 楽天のウイークポイントはアンテナ設置だ。「来夏には人口比96%」を掲げて急ピッチだが、移動中や地下などは別物という点。ソフトバンクも開業当時は自社回線の整備に遅れを取り、懸命に追いついたのを思い出す。これは5Gエリアの整備も同じで、楽天はまだ地方で十分に対応できていない。仮に総務省がプラチナバンドを楽天にも分割するとすれば、それなりの理由付けが必要になってくる。

 auとソフトバンク傘下の格安スマホが次々と値引きした形の料金プランを出しているが、これは「値引きしません」と同意語。ドコモは唯一、格安スマホを持たないので、今後2社と競争するには新たに格安スマホの会社を作って下請けさせるか、自社で値下げするかのいずれかになる。仮にドコモが自社で値下げに踏み切れば、auやソフトバンクも安閑(あんかん)としてはいられない。

乗り換え自由こそ値下げの切り札

 一方、利用者が乗り換えをしない理由は、@面倒A違約金を払いたくないBメールアドレスを変えたくないC家族全部が同じ会社だから─の4点が大きい。「やれ大容量プランだ、小容量だから」と言われても、そもそも「自分が何」すら知らない人が多い。「動画は見ない」「ゲームもしない」と言っても、TwitterやSNSの通信で届いた動画は勝手に動くからギガを食っているし、最近の高性能カメラ連写機能はかなりのギガを消費している。

 結論として、自分で料金プランを見直して乗り換えるのは不可能に近い。携帯ショップに行っても変更にはコンプライアンスとやらで、やたらサインや同意を求められ、中身はさっぱり分からないし、長時間足止めされる。なのに、肝心のアプリの使い方をたずねても「当社以外のアプリはご自分で」と突き放され、がっかりさせられる。

 利用者が無知なのではなく、特に中高齢者にとってはスマホの進化とスピードに追いつけないだけ。総務省は大手3社へのプレッシャーによる値下げだけに全力を入れているが、利用者にとっては「もっとだれでも簡単便利に機能を使えるように」「携帯会社が親身になって対応してください」という声が断然多いと思う。


携帯電話会社は本当にもうけ過ぎ?

 大手3社の平均利益率は年間20〜25%と言われる。これを「もうけ過ぎ」と捉えるか否かを考える。携帯電話会社で最も費用が掛かるのは、いろんな場所にアンテナを立てて通信環境を維持する作業だ。新幹線や自動車、地下鉄車で移動しながら回線がつながり続けるのは、細かいアンテナ網が連続しているからだ。格安スマホは大手3社が整備した回線を借りているに過ぎない。その3社も新たなスピード回線5Gの普及のために、アンテナ増設を迫られているから、費用をプールする必要がある。

 電波は確かに公共物。不当に独占してはならないが、例えば 携帯電話会社は本当にもうけ過ぎ? 放送業界でNHKが国に払う使用料は年約20億円、大阪などの地方民放局は1億円程度。一方で携帯大手3社は年120〜180億円ずつだ。総務省は携帯使用料を世界の大都市と比べて「極めて高額」と指摘しているが、海外に比べ、日本国内のつながりやすさや移動中の通信維持を考慮して料金化すると「日本は欧州より高いが、米国や韓国より安いから、中位くらい」という見方もある。

 大手各社にとって、いずれは少子高齢化の日本だけでは生き残れないから、外国と提携した通信回線やプラットフォーム整備にも乗り出す戦略がある。だから、将来に向けた設備投資を無視して「もうけ過ぎ」と切り捨てると、企業の将来性を閉ざしてしまうことにも。

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