週刊大阪日日新聞

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2020/8/29

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

なぜ? 大阪で重症者、死者急増

重症者の半数は高齢男性 我慢・様子見でいきなり重症

 「コロナ第1波は緊急事態宣言で何とか乗り越えたが、今は第2波の真っただ中」(日本感染症学会の舘田一博理事長)。8月に入って大阪のコロナ患者は、東京と比べて多い日もあり、重症者実数が3倍、死者は2倍の状況だ。計算基準の違いだけでは到底説明できず、西村康稔コロナ担当相も「状況を心配している」と発言した。第2波では東京は重症者・死亡者が少ないことから「毒性が弱まった」との認識も広がったが、大阪はまるで逆。今後のコロナ感染防止策はどうなる?

「異常あればすぐ受診を」

 コロナ第1波の4月。大阪の重症者率は7%前後で、全国平均の2・6%に比べ高かった。そして、8月のピーク時には重症者が70人を突破し、4月末のピークの65人を上回った。死者数も8月に入って急増しており、前月比では10倍近くの約40人に。「死亡後に感染確認」という手遅れケースも約10人を数えた。

 1日の感染者数が現在のように200人ペースで推移していけば、大阪の重症者用ベッドは9月10日あたりに満杯になるかもしれない。

 府は府医師会に「ベッドを増やして」と要請しているが、熱中症患者も急増しているので、どこも空きベッドが不足。この状態で秋口に予想されている第3波が来るとどうなるか。インフルエンザも流行してくれば医療崩壊の危機が迫り、関係者は戦々恐々だ。

いきなり重症≠フ怖さ

 府医師会の茂松茂人会長は「大阪にはいきなり重症≠ニいう言葉があり、このケースが重症者の半分近く。特に高齢者はせきや発熱など、体に異常があればすぐに受診を」と警鐘を鳴らしている。

 茂松会長は重症者に高齢男性が多いことについて、「社会的活動をしており、若い人からうつされている」と推測。陽性確認時には半数近くが重症になっていることから、「症状があっても本人がしばらく我慢していたか、周囲が様子見していたかのどちらか」と指摘。PCR検査数についても府の陽性率が2ケタ前後で推移している点を上げ、「検査数が適正に増えれば、陽性率はもっと下がるはず。実際に医師が検査依頼を出しても1両日待たされるケースがある」と、府の体制の問題点を指摘した。

 高齢者の検査待ちや結果待ちは、治療遅れに直結しかねない。しかし死亡者の過去の受診記録はプライバシー保護でほとんど開示されず、初期段階遅れ自体がうやむやにされている可能性も高い。

 大阪は8月に入って、高齢者施設や医療機関でのクラスターが相次いだ。ミナミの夜の街≠ナ検査をするなら、高齢者施設や医療機関で「もっとスタッフの定期検査を」と切実な声も上がっている。一般面会をいくら規制しても、スタッフがウイルスを広げる危険性があるからだ。

人気知事も焦る

 吉村洋文府知事も焦っている。「大阪は高齢者と若者の生活圏が近い。検査不足より医療へのアクセス遅れ。病床は遊ばせられないから一般医療に一時転用するのは問題ない」と自らの判断に誤りのないことを強調。高齢感染者について「25%が施設内関連。コロナ持ち込みは職員であったりその家族であったり。まずそれを減らさないと」と因果関係を認めている。

 知事は「大阪モデル」と銘打ち、通天閣や太陽の塔をライトアップ。しかし途中で「黄」が「赤」になりそうになると、急に基準そのものを変更している。現在の「黄」は重症者用ベッドが7割埋まったら「赤」になるが、そもそも3分の1程度のベッドが他に転用され、重症者がすぐに使える状態になく、7割埋まる≠ニいう基準は宙に浮いている。府健康医療部は「ベッド数うんぬんより、担当するスタッフ確保の方が大変。他の病人も多くいる」と論点をさらにぼやけさせる。

 吉村知事はコロナを抑え込みながら、生活経済も守る両面作戦だが、今後感染が拡大しても今春にあった約1千億円の府基金は389億円まで減っているから、出せる補償金は少ない。ミナミの時短・休業要請には「大きな効果があった」と言うが、府内の感染者数自体は減っていない。

 知事のコロナ施策は「若い人の感染が増えたから繁華街封鎖」「重症者が増えたから高齢者対策」とその場しのぎの感が見受けられる。感染防止宣言ステッカーをダウンロードして貼らせるような形式的なものばかりでなく、対象店へ行政担当者が継続的に立ち入り指導を繰り返すなど「数年は続く戦い」を想定し、地道に感染者数を減らすことが大切だ。

 一方で、渦中の8月前半、ほとんど登庁しなかった松井一郎市長。最近になってようやく口を開けば「店舗補償に向け、秋から利用者ポイント制度をスタートさせたい。休業時短要請のミナミは特に手厚く」と、国のGoToキャンペーンを笑えない先走り経済対策≠ホかりが前のめりだ。

 橋下徹府政以来、「二重行政のムダ解消」で府市の病院統合や保健所削減が進められた。結果、現在の保健所はコロナ感染者発生時に課せられた濃厚接触者の追跡調査などで職員が手一杯になっており、新たな感染者に寄り添うべき保健師などのスタッフが全く足りない状況にある。追跡調査などは新たに投入される応援事務職員に任せ、陽性者チェックと入院対応に徹しないといつまでたっても重症者や死者は減らない。

次の一手は?

 府は先週の対策会議で「高齢者、その家族、高齢者施設と医療機関のスタッフに対し感染リスクの高い場所を避けて≠ニ要請する」を打ち出した。さらに「高齢者は少しでも症状があれば、感染検査する」と約束。高齢者施設でクラスターが発生の場合、府が他施設に依頼し応援スタッフを確保することも確認した。全て実現できれば大きな一歩だ。

 さらに11月をめどに仮称「大阪コロナ重症センター」を人工呼吸器とセットし30床で開設。最大60床まで増やす構想も示した。ただしスタッフの確保は「人材バンクなどから」と不確定で流動的だ。

 一方で府医師会は府と集合契約を結び、かかりつけ医による唾液PCR検査を府内約200医療施設で行う構想を進める。PCRは結果が出るまで1両日掛かるため、約30分で済む抗原検査も併用し仕分け迅速化を目指す。知事と市長は、医師会にもう足を向けて眠れまい。

■過去経験で乗り切れぬ時代 週刊大阪日日新聞社主 吉岡利固

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